車いす

自分で歩いて移動することが難しくなったときに借りる、座ったまま移動するための用具です。

車いすが要るのはこんなとき

「歩けなくなったら車いす」と考えると、借りる時期を遅らせてしまいます。目安になるのは歩ける距離と、暮らしの用事が噛み合わなくなったときです。家の中は壁を伝って歩けても、病院まで15分歩けないなら、その15分のために借りるという使い方があります。

転んで骨折したあと、体力が戻るまでの数か月だけ使う人も少なくありません。借りるものなので、また歩けるようになったら返せます。買ってしまうと、使わなくなった車いすが玄関を塞ぎます。

家族が押せるかどうかでも、要る型が変わります。同居している人が付き添えるなら介助用で足りますが、一人で通院したいなら自分でこげる型が要ります。

本人が「まだ車いすは要らない」と言うことはよくあります。**車いすに乗ることと、歩けなくなることは別の話です。** 行き先で使う体力を残しておくために乗る、という考え方があります。病院まで歩くと診察のころには疲れきっている、というときに、行きだけ乗ると決めることもできます。

借りるものか、買うものか

介護保険で借りるもの(福祉用具貸与)です。

制度の上での品目名は「車いす」です。事業所のカタログやケアプランには この名前で載るので、見積書と突き合わせるときの手がかりになります。

使える要介護度

要支援1・2と要介護1の人は、原則として介護保険では借りられません。ただし体の状態によっては例外として認められる道があります。

要介護度は市区町村の認定で決まります。今の区分が分からないときは、 介護保険被保険者証か、担当のケアマネジャーに確かめてください。

この品目に含まれるもの

告示で「車いす」として扱われるのは、次のようなものです。 同じ名前で売られていても、この範囲から外れると介護保険は使えません。

  • 自走用標準型車いす
  • 普通型電動車いす
  • 介助用標準型車いす

車いすの料金の目安

借りるときの1か月の額は1割負担でひと月およそ300円〜700円です。

クッションや電動補助装置は「車いす付属品」として別に借ります。

福祉用具貸与には品目ごとに上限価格が決められていて、事業所はその範囲で額を決めています。同じ品物でも事業所によって額が違うので、見比べる値打ちがあります。

ここに書いた額は目安です。実際の額は機種と事業所によって変わり、負担の割合も所得によって1割・2割・3割と違います。契約の前に必ず見積もりで確かめてください。

車いすを選ぶときに見るところ

自分でこぐか、押してもらうかで型が変わる

自走用は後ろの車輪が大きく、その外側のリングを手で回して自分で進みます。腕の力が残っていて、行き先を自分で決められる人に向きます。

介助用は後輪が小さく、押す人が動かすことを前提にした作りです。そのぶん軽く、車のトランクにも積みやすくなります。

「今は自分でこげるが、これから難しくなるかもしれない」という段階でも、先を見越して選ばなくて構いません。借りるものなので、体の状態が変わったら借り換えられます。

座る幅と足を置く高さは、体に当てて決める

座面の幅は、腰の左右にそれぞれ指2本ぶんの余裕があるくらいが目安です。広すぎると体が横に傾き、狭すぎると当たったところが赤くなります。

足を置く台の高さは、膝が股関節より少し高くなる位置に合わせます。ここが合っていないと、座っているだけで少しずつ前へずり落ちていきます。

家の中で使うのか、外へ出るためなのか

家の中で使うなら、廊下の幅と、方向を変えられるだけの広さを先に測ります。玄関の上がりかまちを越えられるかどうかも、借りる前に確かめておきたいところです。

外出のためなら、押す人が扱える重さかどうかが決め手になります。坂や段差の多い道を通るなら、介助する人が握るブレーキが付いているものが安心です。

背もたれが倒れる型と、座面ごと傾く型

長い時間座っていると、体が前へずり落ちてきます。自分で座り直せない人のために、背もたれが倒れる型(リクライニング)と、座面ごと後ろへ傾く型(ティルト)があります。どちらも介助用標準型車いすとして借りられ、**制度の上の品目名は同じ「車いす」です。**

背もたれだけを倒すと、体は座面の上を滑って前へずれていきます。==座った姿勢のまま休ませたいなら、座面ごと傾く型のほうが体はずれません。== 食事や吸引に時間がかかる人ほど、この違いが効いてきます。

倒れる型は本体が重く、たたんでも車に積みにくくなります。家の中で使うのか、通院に持ち出すのかを先に決めてから選びます。

体の大きさに合う型があるかどうか

広く出回っている車いすは、座る幅を40センチ前後、耐えられる重さを100キロあたりに置いた作りのものが多くなっています。体格がこの幅から外れると、座り心地も安全も確保できません。

幅の広い型や、重い体重に耐える型は、扱っている事業所が限られます。**カタログに載っていなくても、取り寄せられるかどうかを聞いてみてください。** 借りるものなので、置いている品物は事業所ごとに違います。

小柄な人にも同じことが言えます。座面が広すぎると体が横に傾き、片側のお尻だけに体重が寄ります。座る幅は、広ければ楽というものではありません。

車いすを使うときに気をつけること

いちばん多い事故は、ブレーキをかけずに立ち上がって車いすごと動いてしまうものです。乗るときも降りるときも、左右両方のブレーキをかけてからにします。片方だけでは止まりません。

足を置く台に足を乗せたまま立とうとすると、前へつんのめります。台を跳ね上げるか外して、足の裏を床につけてから立ちます。

長く座っていると、お尻の同じところに体重がかかり続けて赤くなります。1時間に一度は座り直し、それでも赤みが残るならクッション(車いす付属品)を合わせます。

空気の入ったタイヤが付いている型では、==空気が抜けるとブレーキが効かなくなります。== ブレーキはタイヤを押さえて止める作りなので、柔らかくなったタイヤでは押さえきれません。月に一度は指で押して硬さを確かめてください。

前の小さな車輪は、数センチの段差や側溝のふたの溝でも引っかかります。急に止まって乗っている人が前へ投げ出されるので、段差の前ではいったん止まり、下るときは後ろ向きで、上るときは前輪を浮かせて越えます。

介護保険を使わずに借りるとき

要介護1以下で介護保険が使えないときや、認定の結果を待っている間は、いったん自費で借りることになります。1日単位・1週間単位で貸している事業所があり、旅行や法事のような短い用事なら、そのほうが安く済みます。

社会福祉協議会が無料か安い額で貸し出している市区町村もあります。買うと決める前に、住んでいる市区町村の窓口で貸出制度があるかを聞いてみてください。

車いすを使い終わったら

借りたものなので、要らなくなったら事業所に連絡して引き取ってもらいます。返した車いすは洗って消毒され、点検を受けてから次の人へ回ります。処分の費用はかかりません。

体の状態が変わって別の型が合うようになったときも、返して借り換えるだけです。買っていると、合わなくなった1台が家に残ります。ここが借りることのいちばんの値打ちです。

車いすのよくある質問

要介護1でも車いすを借りられますか。

原則として介護保険では借りられません。ただし、日によって歩けなくなるなど体の状態によっては例外として認められる道があります。判断するのは市区町村なので、まず担当のケアマネジャーに相談してください。

電動車いすも介護保険で借りられますか。

普通型電動車いすは車いすの一種として貸与の対象です。ハンドル形(シニアカー)も対象になりますが、屋外を運転することになるので、実際に乗って確かめてから決めることをすすめます。

クッションだけを借りることはできますか。

できません。クッションは「車いす付属品」にあたり、車いす本体と一緒でなければ介護保険の対象になりません。

背もたれが倒れる車いすでも料金は同じですか。

同じではありません。貸与価格は機種ごとに決められていて、機能の多いものほど高くなります。1割負担での額は事業所と機種で変わるので、見積書で確かめてください。

借りている車いすを屋外に置いておいてもよいですか。

すすめられません。雨に当たると金具がさびて動きが渋くなり、ブレーキの効きにも響きます。ふだんの手入れは借りている側で行うことになっているので、屋内か、少なくとも雨のかからない場所に置いてください。

車いすと一緒に使うことが多い品目

この品目の解説

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