福祉用具をレンタルするまでの流れ

福祉用具のきほん / 2026-08-22 公開 / 2026-08-27 更新 / 約3,700字

福祉用具を借りるまでには、いくつかの人が順番に関わります。どの順で誰に声をかけるかを知っていれば、必要になってから届くまでの日数を短くできます。急いでいるときほど、この順序を飛ばさないほうが結果として早く届きます。

すでに認定を受けているなら、ケアマネジャーが起点になる

要介護の認定を受けていて担当のケアマネジャーがいるなら、まずその人に電話します。「起き上がるのがつらくなってきた」「トイレまでの廊下でふらつく」といった、困っている場面をそのまま伝えれば足ります。品目名を調べて指定する必要はありません。

ケアマネジャーは話を聞いたうえで、福祉用具貸与事業所に連絡します。ここから先は事業所の福祉用具専門相談員が家に来て、実際の段差や部屋の広さ、体の動きを見ながら候補を絞ります。この訪問が入るかどうかで、届いたあとの「合わない」がほとんど決まります。

要支援1・2の人は、ケアマネジャーではなく地域包括支援センターの職員が担当していることがあります。担当者の職名は違っても、流れは同じです。

認定をまだ受けていないなら、地域包括支援センターから

介護保険の認定を受けていない段階では、住んでいる地域を担当する地域包括支援センターが窓口になります。市町村の介護保険課でも受け付けますが、包括支援センターのほうが相談から申請の代行までを一続きで引き受けてくれます。

認定の申請から結果が出るまでは、原則30日以内とされています。実際にはもう少しかかる地域もあります。結果を待つあいだも、暫定のケアプランを作ってサービスを使い始めることはできます。 認定が下りたあとで正式なプランに置き換える形です。

事業所が来てから搬入までは、数日から1週間ほど

福祉用具専門相談員が訪問して候補が決まると、貸与計画書が作られます。何のためにどの用具を使うのか、いつまでに何ができるようになることを目指すのかを書いた書類で、利用者の同意が要ります。中身を読んで納得できなければ、その場で直してもらってかまいません。

在庫のある品目なら、同意した数日後には届きます。介護ベッドのように大きなものは搬入経路を先に確かめる必要があり、階段が狭ければ分解して運ぶ手配が入るぶん日数が延びます。特注のクッションやサイズの合わない車いすを取り寄せる場合は2週間ほどかかることもあります。

段階主に動く人かかる目安
困りごとを伝える本人・家族その日
事業所へつなぐケアマネジャー1〜3日
家を見て候補を決める福祉用具専門相談員訪問1回
貸与計画書に同意する本人・家族その場
搬入と調整事業所数日〜1週間
使い心地を確かめる福祉用具専門相談員搬入後まもなく

届いた日に終わりではなく、そこから合わせていく

搬入の日は、置く場所と高さを決めて、実際に使ってみるところまでやります。ベッドなら起き上がる向き、手すりなら握る高さを、その場で本人に試してもらって決めます。使ってみて違和感があれば、遠慮せずその日のうちに言ってください。

その後も事業所は定期的に訪問して、体に合っているかを確かめます。これはモニタリングと呼ばれ、少なくとも半年に1回は行うことになっています。体が変わったときに用具を替えられるのが、借りることのいちばんの利点です。

退院に間に合わせる段取り

家に帰る日が決まっているなら、入院しているうちから動きます。 退院してから探し始めると、間に合いません。

病院の相談室が起点になります。退院前カンファレンスに、ケアマネジャーと福祉用具の事業所が入ることがあります。 家の間取りを持ち込むと、その場で話が進みます。

認定の結果が出ていなくても、暫定のケアプランで貸与を始められる場合があります。 待たずに動けるかどうかを、必ず聞いてください。

担当者会議で決まること

ケアプランをつくるときに、関わる人が集まって話す場があります。福祉用具の事業所も、ここに入ります。

何のために借りるのか、どうなったら見直すのか。この二つが決まると、あとの判断が楽になります。 目標のない用具は、返すきっかけを失います。

本人と家族も出られます。 出られないときは、困っていることを紙に書いて渡してください。専門職どうしの話だけで決まると、暮らしとずれます。

契約書で確かめる四つのところ

毎月かかる額と、そのうち自分が払う分。まずここを数字で確かめてください。

次に、月の途中で始めたときと終えたときの数え方。搬入と引き取りの費用が含まれるかどうか。壊れたときの連絡先と、代わりの用具が来るまでの時間。

その場で読み切れないなら、持ち帰って構いません。 急がせる事業所とは、それ自体が付き合い方を考える材料になります。

契約の日に手元へ出すもの

用意するのは介護保険被保険者証と、介護保険負担割合証の2枚です。自己負担が1割なのか2割なのかは、負担割合証に書いてあります。 事業所はこれを見て請求額を決めるので、どちらか一方だけでは契約が進みません。

負担割合証は毎年出し直されます。年度の途中で割合が変わることがあるので、新しいものが届いたら事業所へ知らせてください。 知らせないままだと、古い割合で請求が続き、あとでまとめて差額を払うことになります。

印鑑は要らない事業所が増えました。署名で足ります。本人が字を書けない状態なら、家族が代わりに書いて続柄を添える形が一般的です。誰が契約者になるのかは、あとで請求先とつながるので、その場で決めておきます。

毎月の料金がどう請求されるか

料金は月ごとに数え、翌月に請求される形が多くなっています。搬入した月のぶんは、翌月にならないと額が分かりません。「今月から借りたのに請求が来ない」は、たいてい異常ではありません。

払い方は口座からの引き落としが中心で、振込や集金にしている事業所もあります。引き落としの手続きには数週間かかるので、はじめの1、2か月ぶんだけ振込になることがあります。契約のときに、いつから引き落としに切り替わるかを聞いておきます。

返したあとに引き落としが止まっているかを、通帳で1度だけ確かめてください。 止まっていない例が実際にあります。気づくのが遅れるほど戻してもらう手間が増えます。

借りているあいだ、全額を立て替えることはない

請求されるのは最初から自己負担分だけです。いったん全額を払って、あとから9割が戻ってくるという形にはなりません。 保険のぶんは事業所が別に請求する仕組みになっていて、利用者の手元を通りません。

「事業所によって、全額を払う先と自己負担分だけで済む先がある」という話を聞くことがあります。それは買うときの話です。 特定福祉用具販売と住宅改修では、その事業所が市区町村に登録を出しているかどうかで最初に払う額が変わります。受領委任払いと呼ばれるもので、借りるときには関わりません。

2024年から選択制になった固定用スロープや杖は、借りるほうを選べばこの立て替えが起きず、買うほうを選ぶと起きることがあります。同じものでも、借りるか買うかで支払いの形が変わります。

借りていても全額の請求になる場合

例外は三つあります。ひとつは、介護保険料の滞納が続いて給付制限を受けている場合です。その旨が被保険者証に書かれます。 いったん全額を払って後から戻す扱いになり、滞納が長引くとその払い戻しも止まることがあります。

二つめは、認定の結果が出る前に暫定のケアプランで借り始めた場合です。思ったより軽い認定が出たり、非該当になったりすると、使った分が対象から外れます。 車いすや介護ベッドは要介護2以上を原則とするので、要介護1と出れば全額が自分にかかります。

三つめは、区分支給限度基準額を超えたぶんです。これは後から戻るものではなく、そのまま自己負担になります。ほかのサービスと合わせて限度額に近いなら、借りる前にケアマネジャーへ残りを聞いてください。

引き渡しの日に、誰が立ち会うか

搬入の日は、実際に使う人が立ち会ってください。本人がいないと、高さも角度も合わせられません。

介助する家族も同席するほうがよい場面があります。ベッドの操作、車いすのブレーキ、リフトの吊り方。 使う人が二人いるなら、二人とも聞いておく。

通り道の家具は、前の日までに動かしておいてください。 当日に動かす時間は組まれていません。

自分で事業所を選べますか。

選べます。ケアマネジャーは複数の事業所を示すことになっていて、そのなかから決めるのが基本です。すでに知っている事業所があるなら、その名前を伝えてかまいません。

土日でも搬入してもらえますか。

事業所によります。緊急の対応を土日も受けているところもあれば、平日のみのところもあります。退院日が土曜日になりそうなときなど、日にちが決まっている場合は早めに伝えておくと調整してもらえます。

出典

制度の運用と自己負担の額は市区町村によって異なります。 最終的な確認は担当のケアマネジャーか市区町村の窓口へお願いします。

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