2024年4月から始まった借りるか買うかの選択制

福祉用具のきほん / 2026-08-22 公開 / 2026-08-27 更新 / 約2,400字

2024年4月の介護報酬改定で、一部の福祉用具について借りるか買うかを選べるしくみが始まりました。選べる範囲は思ったより狭く、同じ「歩行器」でも対象になるものとならないものがあります。どこまでが対象なのかを先に押さえておきます。

対象は4つ、しかもその一部だけ

選択制の対象になったのは、固定用スロープ、歩行器のうち歩行車を除くもの、単点杖のうち松葉づえを除くもの、多点杖の4つです。比較的値段が安く、使う期間が長くなりやすいものが選ばれています。

注意したいのは、同じ品目のなかで対象と対象外が分かれる点です。 車輪の付いた歩行車は選択制の対象ではなく、これまでどおり借りるものです。松葉づえも対象外です。名前だけで判断せず、その商品が対象かどうかを事業所に確かめてください。

品目選択制の対象対象外
スロープ段差解消のための固定用スロープ可搬型スロープ
歩行器固定型・交互型の歩行器車輪の付いた歩行車
歩行補助つえ単点杖(松葉づえを除く)、多点杖松葉づえ、ロフストランド・クラッチなど

決めるのは利用者だが、判断の材料は専門職が出す

最終的に借りるか買うかを決めるのは利用者本人です。ただし、判断の材料をそろえるのは福祉用具専門相談員とケアマネジャーの役目とされています。

説明を受ける内容は決まっています。借りた場合と買った場合それぞれの費用がどうなるか、体の状態が変わる見込みがあるか、保守や点検がどう変わるか、といった点です。この説明を受けずに決めさせられたなら、それは手順を踏んでいません。

医師や理学療法士の意見が必要と判断される場合には、その意見を踏まえて提案することも求められています。短期間で状態が変わりそうな人に買うことを勧めるのは適切ではない、という考え方が背景にあります。

借りるほうを選ぶと、その後の点検が付いてくる

借りることを選んだ場合、事業所は定期的にモニタリングを行い、体に合っているかを確かめます。杖のゴムが減っていれば替えますし、歩行器の高さが合わなくなっていれば直します。

買うことを選んだ場合、事業所は購入後の使用状況を確かめる責務を負いますが、その後の消耗品の交換や修理は自己負担です。杖の先ゴムのように定期的に替えるものがある品目では、この差を見込んでおいてください。

どちらを選ぶかの目安

判断の軸は二つです。これから体の状態が変わりそうかどうかと、どのくらいの期間使いそうか。 退院直後やリハビリの途中なら借りるほうが無難で、状態が落ち着いていて何年も同じ杖を使いそうなら買うほうが合計額は小さくなります。

迷うときは、まず借りて使ってみてから買いに切り替えるという順序が取れます。逆の順序は取れないので、迷っているうちは借りるほうから始めるのが安全です。

買うほうを選ぶと、支払いの形も変わる

借りているあいだは、毎月かかる額のうち自己負担分だけを払います。買うと、原則としていったん全額を払い、あとから9割などが戻る形になります。3万円の歩行器なら、その場で3万円が要ります。 1割負担の人に2万7千円が戻るのは、申請から1か月から3か月あとです。

ただし、その事業所が市区町村に受領委任払いの登録を出していれば、最初から3千円で済みます。 登録は事業所が自分で市区町村へ申請するもので、出していない事業所から買えば全額の立て替えになります。同じ商品を同じ値段で買っても、最初に出る額がここで分かれます。

借りるほうを選べば、この立て替えは起きません。 どちらが安く付くかだけでなく、いつ、いくら手元から出せるかも判断の材料になります。買うと決めたなら、その事業所が登録しているかどうかを買う前に尋ねてください。

なぜこの品目だったのか

選択制の対象になったのは、比較的安く、長く同じものを使い続ける人が多い品目です。

毎月払い続けると、買うより高くつく期間がきます。その期間を超えて使う人が多い品目から、選べるようにした。 これが制度を変えた理由です。

逆に言えば、短い期間で終わる見込みなら、借りるほうが軽い。 どちらが得かは、使う期間の見立てで決まります。

判断に迷ったときの尋ね方

「どちらがよいですか」と聞くより、「何か月使うとどちらが安くなりますか」と聞くほうが答えが出ます。

体の状態が変わる見込みも材料です。進む病気なら、借りて替えられるほうが向きます。 落ち着いている状態なら、買うほうが軽くなります。

医師やリハビリ職の見立ても聞けます。 専門職の間で見方が分かれることもあるので、両方の意見を出してもらってください。

買ったあとの手入れは自分でする

借りている間は、点検も修理も事業所が行います。買うと、そこが自分の仕事になります。

ネジのゆるみ、ゴムのすり減り、布の傷み。手すりや杖は、ゆるみがそのまま転倒につながります。 定期的に見る人を決めておいてください。

買った製品でも、故障の相談は事業所に持ち込めます。 買った先を控えておくと、あとが楽になります。

選んだ結果を記録に残す

どちらを選んだか、なぜそう決めたか。貸与計画書やケアプランに残ります。

写しをもらって手元に置いてください。あとで「聞いていない」となる場面を減らせます。

買ったものは、いつ買ったかも残しておく。 年度ごとの枠を数えるときに要ります。領収書と一緒に保管してください。

買ったあとで体が変わったら、借りるほうに戻せますか。

同じ品目を今度は借りることは、必要な理由が説明できれば可能です。ただし買った費用は戻りません。年度10万円の販売の枠も使ったままになります。

選択制で買った場合も、10万円の枠から引かれますか。

引かれます。特定福祉用具販売として扱われるので、同じ年度のうちに入浴用いすなどを買う予定があるなら、枠の残りを見ながら決めてください。

出典

制度の運用と自己負担の額は市区町村によって異なります。 最終的な確認は担当のケアマネジャーか市区町村の窓口へお願いします。

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