福祉用具貸与と特定福祉用具販売の違い

福祉用具のきほん / 2026-08-22 更新 / 約1,500字

同じ介護保険の福祉用具でも、借りる制度と買う制度は別のしくみで動いています。使える金額の枠も、申請の仕方も、途中でやめたくなったときの扱いも違います。どちらの制度で手に入れるものなのかを先に確かめておくと、費用の見通しが立てやすくなります。

費用の数え方が根本から違う

借りるほうは、毎月の利用料が他の介護サービスと同じ枠のなかで数えられます。要介護度ごとに決まった区分支給限度基準額があり、訪問介護もデイサービスも福祉用具も、すべてこの一つの枠を分け合う形です。

買うほうはこの枠の外にあります。同じ年度のうち10万円まで、という独立した枠が用意されていて、月々のサービスをどれだけ使っていても影響を受けません。 この違いは、限度額いっぱいまでサービスを使っている人にとっては大きな意味を持ちます。

ただし買うほうの枠は年度で区切られ、繰り越しができません。使わなかった分が翌年度に足されることはなく、4月1日にまた10万円分の枠が立ち上がります。

お金の払い方も違う

借りる場合は、はじめから1割などの自己負担分だけを事業所に払います。手続きは事業所と市町村のあいだで済むため、利用者が申請書を出す場面はほとんどありません。

買う場合は、いったん全額を払ってから、あとで9割分などを返してもらう償還払いが原則です。10万円の用具なら、まず10万円を払い、申請してから数か月後に9万円が振り込まれる形になります。この立て替えが負担になる場合に備えて、多くの市町村が受領委任払いという仕組みを用意しています。

借りる(福祉用具貸与)買う(特定福祉用具販売)
最初に払う額自己負担分だけ原則としていったん全額
申請事業所が代行し、利用者の手続きはほぼない領収書と申請書を市町村へ出す
返金までの期間なし申請からおよそ1〜3か月
受領委任払い該当しない市町村が用意していれば自己負担分だけで済む
ケアプラン必ず位置づける必ず位置づける

体の状態が変わったときの立ち直りやすさが違う

借りているものは、合わなくなれば交換できます。歩けるようになって歩行器が要らなくなれば返せますし、逆に弱ってきて車いすが要るようになれば入れ替えられます。月の途中でやめても、その月の扱いは事業所と市町村の取り決めに沿って整理されます。

買ったものは手元に残ります。合わなくなっても保険の枠を使って買い直すことは難しく、同じ品目をもう一度買う場合は、なぜ前のものでは足りないのかの説明が求められます。だからこそ、買う品目ほど試してから決める意味があります。

この違いがあるので、どちらでも手に入る品目については、体の状態が動いている時期は借りる、落ち着いている時期は買うという選び方が理にかなっています。

手入れと責任の持ち方が違う

借りているもののお手入れと点検は、事業所の仕事として決められています。定期的に訪問して不具合を見つけ、必要なら部品を替えます。壊れたときの修理も原則として事業所が持ちます。

買ったものは自分の持ち物です。故障したときの修理はメーカー保証の範囲を超えれば自己負担になりますし、処分するときも自分で手配します。ポータブルトイレのように、捨てるときに粗大ごみの扱いになるものもあります。

借りていたものを、そのまま買い取ることはできますか。

介護保険の枠では買い取れません。貸与用の商品は消毒して次の人に回すことを前提にしているためです。事業所によっては保険を使わない自費での買い取りに応じることがありますが、その場合は特定福祉用具販売の10万円の枠は使えません。

販売のほうの10万円は、1品目につき10万円ですか。

いいえ、品目をまたいだ合計で10万円です。入浴用いすとポータブルトイレを両方買えば、その合計額が枠から引かれます。

出典

制度の運用と自己負担の額は市区町村によって異なります。 最終的な確認は担当のケアマネジャーか市区町村の窓口へお願いします。

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