福祉用具購入費の申請方法

介護保険とお金 / 2026-08-22 公開 / 2026-08-27 更新 / 約3,100字

介護保険で福祉用具を買った場合、多くの市町村ではいったん全額を払ってから申請して払い戻しを受けます。手元にまとまったお金が要る仕組みなので、負担を軽くする方法も合わせて知っておいてください。

原則はいったん全額を払う償還払い

償還払いは、まず利用者が事業所に全額を払い、その領収書を添えて市町村に申請し、あとから9割などが振り込まれる方式です。5万円の入浴用いすなら、まず5万円を払い、後日4万5千円が戻ります。

戻るまでには申請からおよそ1か月から3か月かかります。 市町村によって処理の速さが違うので、いつごろ振り込まれるかを申請のときに聞いておくと見通しが立ちます。

受領委任払いなら自己負担分だけで済む

多くの市町村が受領委任払いという方式を用意しています。利用者は自己負担分だけを事業所に払い、残りは市町村から事業所へ直接支払われる仕組みです。5万円の用具なら、5千円を払うだけで済みます。

この方式を使うには、市町村に登録された事業所から買う必要があります。 全国どこでも使えるわけではなく、市町村が制度を設けていて、かつ事業所が登録していることが条件です。買う前に「受領委任払いは使えますか」と尋ねてください。

償還払い受領委任払い
最初に払う額全額自己負担分だけ
申請購入後に自分で行う事業所が手伝うことが多い
戻るまでの期間1〜3か月立て替えがないため待たない
使える条件どの市町村でも市町村が制度を設け、事業所が登録している場合

同じ市区町村でも、事業所によって払い方が分かれる

受領委任払いが使えるのは、その市区町村に登録を届け出ている事業所から買ったときだけです。 販売の指定を受けていることとは別の手続きで、事業所が自分の判断で市区町村に申請します。指定は都道府県などから受けるもの、この登録は市区町村へ出すもので、両方そろってはじめて使えます。

新宿区は届出書と確約書を出して審査を受け、登録の通知が事業所に届く形をとっています。名古屋市は登録に2週間ほどかかるとしています。文京区は、登録した事業所なら償還払いと受領委任払いのどちらでも申請でき、登録していない事業所からの購入は償還払いになる、と書いています。

同じ商品を同じ値段で売っていても、最初に手元から出る額が5万円か5千円かに分かれるということです。 事業所の良し悪しの差ではなく、市区町村へ届出を出しているかどうかの差です。買う先を決める前に確かめる値打ちがあります。

登録している事業所を探す

市区町村が一覧を公表しています。文京区は業者名・所在地・電話番号を常時公表し、名古屋市は取扱事業者を検索できるようにしています。住んでいる市区町村の名前と「福祉用具購入費」を並べて探すと見つかります。窓口で一覧をもらうこともできます。

呼び名が市区町村で違うので、そこでつまずきます。 受領委任払いのほかに、代理受領、給付券払いという名前で案内している市区町村があります。窓口では名前を当てにいくより、「いったん全額を払わずに済む方法はありますか」と尋ねるほうが早く通じます。

事業所に聞くときは、「この市の受領委任払いの登録をしていますか」と尋ねてください。「受領委任払いは使えますか」だと、市区町村に制度が無いのか、事業所が登録していないのかが混ざったまま「使えません」と返ってきて、別の事業所なら使えたことに気づけません。

分かれ道最初に払う額
市区町村が制度を設けていない全額(どの事業所から買っても)
制度はあるが、その事業所が登録していない全額
制度があり、事業所も登録している自己負担分だけ
保険料の滞納や給付制限がある全額(登録した事業所から買っても)

最後の行は見落とされがちです。田布施町は、保険料を滞納している人や給付制限を受けている人は受領委任払いを使えず償還払いになる、と明記しています。滞納に心当たりがあるなら、買う前に介護保険の担当課へ相談してください。

借りるぶんには、この立て替えは起きない

ここまでの話は、買うときと住宅改修のときのものです。福祉用具を借りるときは、最初から自己負担分だけを払います。 事業所が保険のぶんを別に請求する仕組みになっているので、借りるかぎり事業所によって払い方が変わることはありません。

だから、同じものを借りるか買うかで選べるなら、手元のお金の都合も判断の材料になります。 2024年から選択制になった固定用スロープや杖は、借りるほうを選べば立て替えが要りません。買うほうを選ぶなら、その事業所が登録しているかどうかで最初に出す額が変わります。

申請に必要なもの

一般的には、支給申請書、領収書の原本、購入した用具のパンフレットや仕様がわかる書類の写し、介護保険被保険者証、振込先の口座がわかるものが要ります。市町村によっては、福祉用具が必要な理由を書く書類が加わります。

領収書には、購入した人の氏名、購入日、商品名、金額が明記されている必要があります。「福祉用具一式」のような書き方では受け付けられないことがあるので、商品名が入っているかを受け取った場で確かめてください。

申請の期限は、購入した日の翌日から2年です。領収書を見つけたのが1年後でも間に合うことがあります。

つまずきやすいところ

指定を受けていない店で買ってしまうと対象になりません。同じ商品が通販で安く売られていることがありますが、そちらで買うと全額自己負担です。

ケアプランに位置づけられていない購入も、認められないことがあります。買いたいものが決まったら、まずケアマネジャーに伝えてください。

領収書と証明書は別のもの

申請には、領収書のほかに、その用具が対象の品目であることを示す書類が要ります。

事業所が出す書類です。買ったときに一緒にもらえることが多いので、その場で確かめてください。

あとから取り寄せると、日数がかかります。 申請の期限がある市区町村もあるので、そろえるのは早いほうが確実です。

振り込まれるまでの時間

いったん全額を払う形の場合、戻ってくるまでに1、2か月かかることがあります。

まとまった額を先に出すことになるので、買う時期を年金の入る月に合わせる家もあります。

受領委任払いが使える市区町村なら、最初から自己負担分だけで済みます。 使えるかどうかを、買う前に窓口で確かめてください。

亡くなったあとに申請できるか

買ったあとに本人が亡くなった場合でも、相続人が申請できることがあります。

必要な書類が増えるので、市区町村の窓口で先に確かめてください。 期限があります。

領収書と書類は、しばらく残しておいてください。 片づけの途中で捨ててしまうと、取り戻せません。

事業所が代行してくれる範囲

書類の作成を手伝ってくれる事業所は多くあります。ただし、申請そのものは本人か家族が行うのが原則です。

ケアマネジャーが代行できる場合もあります。どこまで頼めるかを、先に聞いてください。

このサイトの市区町村ページから、地域の福祉用具の事業所をたどれます。 手続きの慣れている事業所を選ぶと、そこも楽になります。

本人以外の口座に振り込んでもらえますか。

家族の口座を指定できる市町村もありますが、委任状が必要になるのが一般的です。窓口で確かめてください。

亡くなったあとに申請できますか。

購入した時点で要件を満たしていれば、相続人が申請できることがあります。必要な書類が増えるので、市町村に相談してください。

出典

制度の運用と自己負担の額は市区町村によって異なります。 最終的な確認は担当のケアマネジャーか市区町村の窓口へお願いします。

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