住宅改修と福祉用具の使い分け

福祉用具のきほん / 2026-08-22 更新 / 約1,300字

家の中で転ばないようにしたいとき、道は二つあります。工事をして手すりを付けるか、床に置く手すりを借りるか。どちらも介護保険が使えますが、まったく別の制度で、使える金額も手続きも違います。

工事をするなら住宅改修、置くだけなら福祉用具

壁にねじで留める手すりは住宅改修、床に置いて重さで安定させる手すりは福祉用具貸与です。同じ「手すり」という言葉でも、取り付けに工事がいるかどうかで制度が変わります。

同じことがスロープにも当てはまります。段差にかけて使う持ち運びできるスロープは福祉用具、コンクリートで斜路を造るのは住宅改修です。判断の分かれ目は、家に手を加えるかどうかです。

住宅改修は生涯で20万円まで

住宅改修費の枠は、1人につき20万円です。年度ごとではなく、原則として生涯で一度きりの枠として使います。20万円のうち9割などが戻る形なので、1割負担の人なら実際の負担は2万円ほどになります。

一度に使い切る必要はなく、何回かに分けて使えます。ただし引っ越すか、要介護度が3段階以上重くなったときには、もう一度20万円の枠が立ち上がります。 この例外を知らずに使い切ることをためらう人がいます。

福祉用具貸与住宅改修
費用の枠区分支給限度基準額のなか生涯で20万円(例外あり)
払い方毎月の利用料工事のあと一度きり
やり直し交換できる原則としてやり直せない
借家大家の許可は不要大家の承諾書が要る
申請事業所が代行工事の前に申請が必要

住宅改修でできる工事は6種類

対象になるのは、手すりの取り付け、段差の解消、滑りにくい床材への変更、引き戸などへの扉の取り替え、洋式便器などへの便器の取り替え、そしてこれらに付帯して必要になる工事です。

この6つ以外は対象になりません。浴槽を小さいものに替える、階段昇降機を付けるといった工事は、必要であっても介護保険の住宅改修では扱えません。

選び分けの考え方

体の状態がまだ動いている時期は、福祉用具のほうが向いています。 退院直後で、これから歩けるようになるかもしれない段階で工事をしてしまうと、要らなくなった手すりが壁に残ります。

一方で、置き型の手すりは場所を取ります。狭い廊下やトイレでは、置くだけで通れなくなることがあります。そういう場所では工事のほうが結果的に使いやすくなります。

借家の場合は大家の承諾が要ります。承諾が得られないなら、福祉用具で組み立てる方向で考えることになります。壁を傷つけない突っ張り型の手すりは、こういう場面で選ばれます。

住宅改修は工事の前に申請しないと対象になりません。先に工事をして、あとから申請することはできません。

両方を組み合わせて使えますか。

使えます。玄関は工事で手すりを付け、寝室は置き型の手すりを借りる、といった組み合わせはよく行われます。枠が別なので、どちらかを使ったからもう一方が使えないということはありません。

工事を頼む業者は自分で選べますか。

選べます。ただし申請に必要な書類をそろえられる業者である必要があるので、ケアマネジャーに相談してから決めるほうが手続きが滞りません。

出典

制度の運用と自己負担の額は市区町村によって異なります。 最終的な確認は担当のケアマネジャーか市区町村の窓口へお願いします。

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