トイレを使いやすくする

暮らしの場面から / 2026-08-22 公開 / 約1,400字

トイレの困りごとは相談しにくく、我慢したまま暮らしが縮んでいきます。けれども、手を打てる範囲は広い場所です。何ができなくて困っているのかを分けて考えると、手立てが見つかります。

困りごとを分ける

トイレまで歩けない、間に合わない、便座から立てない、ドアが開けにくい、狭くて介助できない。同じ「トイレが大変」でも、中身がまるで違います。

この分け方をしないまま「トイレに手すりを」と頼むと、実際には効かない場所に付くことがあります。どの動作で止まっているのかを、先に一度観察してください。

困っていること手立て
トイレまで歩けない廊下の手すり、歩行器、ポータブルトイレ
間に合わないポータブルトイレ、排泄予測支援機器
便座から立てない補高便座、手すり、立ち上がり補助便座
和式でしゃがめない腰掛便座、洋式への取り替え
ドアが開けにくい引き戸への取り替え
狭くて介助できない壁の手すり、扉の向きの変更

便座から立てないなら、まず高さ

便座が低いと、立ち上がるときに膝と腰へ大きな力が要ります。補高便座を敷いて数センチ高くするだけで立てるようになる人がいます。

高くしすぎて足が床から浮くと、かえって不安定になります。 厚みの違うものを試して、足の裏がしっかりつく範囲でいちばん高いものを選んでください。

手すりは工事のほうが向くことが多い

トイレは狭いので、床置きの手すりを入れると通れなくなることがあります。壁に固定する手すりのほうが場所を取らず、体重をしっかり支えられます。 これは住宅改修の対象です。

位置は、便座に座った状態から前方の横。立ち上がるときに引き寄せる力が入る場所です。実際に座って、手を伸ばして決めてください。

ポータブルトイレを使うことは後退ではない

夜間だけポータブルトイレを使い、日中はトイレまで歩く。この使い分けは、転倒を防ぎながら歩く機会も残す、理にかなった組み合わせです。

後始末を誰が担うのかを先に決めてください。 続けられるかどうかは、そこで決まります。凝固剤で固めるもの、ラップで密封するもの、水洗できるものと、後始末の楽さで選べます。

排泄の失敗を責めないでください。恥ずかしさから水分を控えると、脱水や便秘を招きます。

紙とごみ箱の位置

手を伸ばして届かない場所にあると、体をひねります。 そこで転ぶことがあります。

座ったまま届く位置に移すだけで、危ない動きが一つ減ります。

手すりを付ける前に、この見直しをしてください。 費用がかからず、その日にできます。

便座の冷たさと暖房

冬の便座の冷たさは、そこに座るのをためらわせます。

トイレと廊下の温度差は、血圧の変化につながります。 高齢の人にとっては軽い話ではありません。

小さな暖房を置くだけでも違います。 火の始末が心配なら、電気の型を選んでください。

間に合わないことを、責めない

失敗が続くと、本人が水分を控えるようになります。 脱水につながります。

責められると、隠すようになります。 状態が分からなくなるほうが困ります。

間に合わないのは、体の問題か、距離の問題です。 人の問題ではありません。そう扱ってください。

夜だけ別の方法にする

昼はトイレまで歩けても、夜は間に合わないことがあります。

夜だけ寝室に置く、夜だけ紙の下着を使う。時間帯で分けて構いません。

一日ぜんぶを同じ方法にする必要はありません。 できる時間はできるやり方で続けてください。

出典

制度の運用と自己負担の額は市区町村によって異なります。 最終的な確認は担当のケアマネジャーか市区町村の窓口へお願いします。

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