体に合わせるということ、寸法をどう測るか
福祉用具でいちばん多い失敗は、寸法が合っていないことです。数センチの違いで、立てるはずの人が立てなくなり、痛くないはずのところが痛くなります。合わせるのは相談員の仕事ですが、どこを見ているかを知っていると、違和感を言葉にできます。
立ち上がる高さは、足の裏で決まる
ベッドでも、いすでも、便座でも、立ち上がりやすい高さの目安は同じです。腰かけたときに足の裏が床にしっかりつき、膝がおおむね直角か、それより少し伸びている状態です。
高すぎると足が浮いて踏ん張れず、低すぎると膝と腰に力が集中します。 どちらも立ち上がれない原因になりますが、症状の出方が違うので、どちらに寄っているかを見てもらってください。
介護ベッドやシャワーチェアは高さを変えられます。借りた日の設定のまま何年も使っている家は珍しくありません。 体が変われば合う高さも変わるので、モニタリングのときに一度確かめてもらってください。
座る幅と奥行きは、体に触れない余裕で決まる
車いすの座幅は、お尻の左右の幅に2センチから3センチ足したくらい。広いと体が横に流れ、狭いと太ももが当たります。
奥行きは、膝の裏に指が2、3本入る余裕を残します。深すぎると膝の裏の血管を圧迫し、浅すぎると太ももが支えられず前へずり落ちます。
| 合っていないときに出ること | 疑うところ |
|---|---|
| お尻の同じところが痛い | クッション、座面の硬さ |
| 体が横に傾く | 座幅が広すぎる |
| 前へずり落ちる | 座面の奥行き、傾き |
| 膝の裏がしびれる | 奥行きが深すぎる |
| 立ち上がれない | 座面が低すぎる、足が届いていない |
| 肩がこる | 杖や歩行器が高すぎる |
握る高さは、腕を下ろした手首
杖も歩行器も手すりも、握る位置の目安はまっすぐ立って腕を下ろしたときの手首の高さです。ここから、肘が少し曲がる程度になります。
高すぎると肩が上がって疲れ、低すぎると前かがみになって重心が前へ出ます。前かがみは転倒の姿勢そのものなので、低すぎるほうが危険です。
合わないと感じたら、その場で言う
搬入の日にその場で調整できることは多くあります。数センチの上下、角度、向き。使ってみて違和感があるなら、遠慮せず言ってください。
後日でも構いません。借りているものは調整も交換もできます。我慢して使い続けることに、制度上の理由はまったくありません。
測るのは相談員、確かめるのは本人
寸法を測って設定するのは福祉用具専門相談員の仕事です。それでも、合っているかどうかを感じるのは使う人です。
数字が合っていても、痛い、疲れる、動きにくいなら合っていません。 感覚のほうが正しいことがあります。
「専門の人が決めたのだから」と我慢しないでください。 違和感は、そのまま伝えて構いません。
靴を履くかどうかで変わる
杖や歩行器の高さは、履物の厚みで数センチ動きます。
家の中はスリッパか裸足、外は靴。同じ道具を両方で使うなら、どちらに合わせるかを決めておく必要があります。
伸縮する型を選ぶか、屋内用と屋外用を分けるか。 一本で通そうとすると、どちらかが合いません。
左右で違うことがある
片側に麻痺がある人、片方の膝だけ悪い人。左右で楽な高さが違います。
手すりの位置も、どちら側に付けるかで使えるかどうかが変わります。 弱いほうを支える形にします。
リハビリ職が関わっているなら、その見立てを相談員に伝えてください。 左右の差は、道具の話だけでは決まりません。
合わせ直す機会を決めておく
一度合わせたら終わり、ではありません。体は変わります。
半年に一度のモニタリングは、寸法を見直す機会でもあります。 何も言わないと、設定は借りた日のままです。
体重が変わった、手術をした、むくみが出た。 こうしたあとは、待たずに連絡してください。
出典
- テクノエイド協会 福祉用具情報システム(TAIS) 2026-08-22 確認
- 国立長寿医療研究センター 転びやすくなる原因は? 2026-08-22 確認
- 厚生労働省 介護保険制度における福祉用具貸与・販売の概要(PDF) 2026-08-22 確認
制度の運用と自己負担の額は市区町村によって異なります。 最終的な確認は担当のケアマネジャーか市区町村の窓口へお願いします。
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