電動車いすとシニアカー、借りる前に確かめること
電動の車いすは、歩けなくなった人の行動範囲をもう一度広げる道具です。同時に、坂や段差での事故が繰り返し報告されている道具でもあります。借りられるかどうかより先に、使い続けられる環境かどうかを見てください。
二つの形があり、向く人が違う
ハンドルを握って操作する三輪や四輪の形が、一般にシニアカーと呼ばれているものです。座って足を前に置き、速度の調整はハンドルまわりで行います。
もう一つが、車いすの形をしたまま電動で動く型です。手元の操作桿を指で倒して進みます。 屋内でも取り回せる大きさで、腕の力が落ちている人でも動かせます。
長い距離を屋外で移動したいならハンドル形、家の中と外を続けて動きたいならいす形。 使いたい場面から決めるほうが、迷いません。
介護保険では車いすの品目に入る
電動の車いすは、福祉用具貸与の車いすという品目の中で扱われています。手動のものと同じ枠です。
原則として要介護2以上が対象になります。要支援と要介護1の人でも、状態によっては例外として認められる道がありますが、認めるかどうかを決めるのは市区町村です。 借りられると決めてかからず、確認を取ってください。
料金は月ごとにかかり、手動のものより高くなります。限度額のうちどれだけを使うことになるかを、ほかのサービスと並べて計算してもらってください。
道路の上では歩行者として扱われる
基準を満たす電動車いすは、道路交通法の上で歩行者として扱われます。運転免許は要りません。 そのかわり、歩道を通り、歩行者の速さで動くことが前提になります。
歩行者として扱われるということは、信号も横断歩道も歩行者の決まりに従うということです。車道を車のように走ることはできません。
警察が安全な使い方の案内を出しています。はじめて使う人は、購入や貸与の前に、実際の道で練習させてもらってください。 事業者が指導の場を用意していることがあります。
事故は、坂と段差と踏切で起きている
事故を調べている機関の報告では、転落と横転が繰り返し挙がっています。 側溝への脱輪、坂道での転倒、段差を斜めに越えようとしての横転。
重い機械に体を乗せているため、倒れたときの怪我が重くなります。電動車いすと介護ベッドの事故では、亡くなる例の割合が高いことが報告されています。 慣れているから大丈夫、という判断がいちばん危ない部分です。
踏切での事故も報告されています。車輪が溝にはまると、自力では出られません。踏切を渡る経路を避けられないかを、行き先ごとに考えてください。
本人の状態を、正直に見る
操作そのものは難しくありませんが、判断は要ります。曲がってくる車を見る、人をよける、止まるべきところで止まる。 ここが危うい状態なら、電動は向きません。
視野が狭くなっている、音が聞こえにくい、注意が続かない。こうした状態のときは、家族が一緒に歩ける手動の車いすのほうが安全です。
認知症のある人については、道に迷う、帰れなくなるという別の心配が出ます。行動範囲が広がることは、良い面と危ない面の両方を持っています。 主治医とケアマネジャーの両方に相談してください。
保管と充電の場所が要る
本体は重く、玄関の中まで入れられない家もあります。屋外に置くなら、雨のかからない場所と、充電のための電源が要ります。
充電は毎回の作業になります。誰が充電するのかを決めておかないと、出かけようとしたときに電池が空になります。 ひとり暮らしの人ほど、ここで止まります。
坂の多い地域では、電池の減りが早くなります。行きは足りても帰りに切れることがあります。行き先までの距離と勾配を、実際に走って確かめてください。
借りてから使い続けるまでの手順
福祉用具専門相談員が、体に合わせて設定します。座る高さ、背もたれの角度、速度の上限。速さは最初から上げず、慣れるまで低くしてもらってください。
定期の点検があります。電池は消耗品で、年を追って走れる距離が短くなります。モニタリングのときに、走行距離が落ちていないかを伝えてください。
このサイトの市区町村ページから、地域の福祉用具貸与の事業所を探せます。 電動を扱っているかどうかは事業所によって違うので、電話で確かめてから訪ねてください。
運転免許は要りますか。
基準を満たす電動車いすは道路交通法で歩行者として扱われるため、免許は要りません。歩道を通り、歩行者の決まりに従うことが前提になります。
要介護1ですが借りられますか。
原則は要介護2以上ですが、状態によっては例外として認められる道があります。認めるかどうかは市区町村が判断するので、ケアマネジャーを通して確認を取ってください。
シニアカーは介護保険の対象ですか。
ハンドル形の電動車いすは、福祉用具貸与の車いすの品目に含まれます。ただし製品によって扱いが分かれることがあるので、事業所に確かめてください。
自費で買うのと、借りるのとどちらがよいですか。
体の状態が変われば必要な設定も変わり、電池も消耗します。点検と交換が受けられる貸与のほうが、長く使う場合には向いています。
出典
- 消費者庁 ハンドル形電動車椅子を使用中の事故(事故等原因調査) 2026-08-22 確認
- 製品評価技術基盤機構(NITE) 高齢者の事故防止~電動車いすの利用で気を付けたいこと~ 2026-08-22 確認
- 警察庁 電動車いすの安全利用について 2026-08-22 確認
- 厚生労働省 介護保険制度における福祉用具貸与・販売の概要(PDF) 2026-08-22 確認
制度の運用と自己負担の額は市区町村によって異なります。 最終的な確認は担当のケアマネジャーか市区町村の窓口へお願いします。
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