体位変換器

寝たままの姿勢を変えるときに、体の下に差し込んで動かしやすくする用具です。

体位変換器が要るのはこんなとき

ベッドの上で体がだんだん足元へずり落ち、そのたびに家族が脇の下へ手を入れて引き上げている、という場面があります。この引き上げが、介助する人の腰を壊す動作です。滑る布を敷けば、引き上げずに滑らせて動かせます。

横向きに寝かせても、しばらくすると仰向けへ戻ってしまうときは、背中と膝の下にクッションを入れて姿勢を保ちます。床ずれを防ぐマットレスと組み合わせて使います。

おむつ交換のたびに体を横へ向けるのが重い、という段階でも効きます。持ち上げるのではなく滑らせるので、力の要り方がまるで変わります。

介護をしている人が腰を痛めてから慌てて探す、という順番になりがちな品目です。痛める前に入れておくほうが、結果として介護を続けられる期間が延びます。腰痛はいったん出ると、そのあと何年も付き合うことになります。

借りるものか、買うものか

介護保険で借りるもの(福祉用具貸与)です。

制度の上での品目名は「体位変換器」です。事業所のカタログやケアプランには この名前で載るので、見積書と突き合わせるときの手がかりになります。

使える要介護度

要支援1・2と要介護1の人は、原則として介護保険では借りられません。ただし体の状態によっては例外として認められる道があります。

要介護度は市区町村の認定で決まります。今の区分が分からないときは、 介護保険被保険者証か、担当のケアマネジャーに確かめてください。

この品目に含まれるもの

告示で「体位変換器」として扱われるのは、次のようなものです。 同じ名前で売られていても、この範囲から外れると介護保険は使えません。

  • 体位変換用クッション
  • スライディングシート
  • スライディンググローブ

体位変換器の料金の目安

借りるときの1か月の額は1割負担でひと月およそ100円〜300円です。

福祉用具貸与には品目ごとに上限価格が決められていて、事業所はその範囲で額を決めています。同じ品物でも事業所によって額が違うので、見比べる値打ちがあります。

ここに書いた額は目安です。実際の額は機種と事業所によって変わり、負担の割合も所得によって1割・2割・3割と違います。契約の前に必ず見積もりで確かめてください。

体位変換器を選ぶときに見るところ

力ではなく、摩擦を減らして動かす道具

寝ている人を動かせないのは、体が重いからだけではありません。シーツと体の間の摩擦が大きいからです。滑る布を挟むと、同じ力でも動かせるようになります。

抱え上げずに滑らせれば、介助する人の腰は守られ、本人の皮膚も引っ張られません。ずり上げるときに皮膚がこすれることが、床ずれの始まりになります。

クッション型は姿勢を保つために使う

横向きにした体が戻ってしまわないよう、背中や膝の間に挟んで支えます。三角の形をしたものが多く、当てる位置で角度が決まります。

30度ほど傾けた横向きが、お尻の骨に体重をかけずに済む姿勢とされています。真横まで倒すと、今度は肩と腰の骨に体重が集まります。

誰が何回使うかで、要るものが変わる

家族が一人で介助するなら、体の下へ差し込みやすい薄い布のほうが扱えます。二人で介助できるなら、大きな筒状のものでも構いません。

夜中に何度も向きを変えるなら、そのたびに布を出し入れするのは現実的ではありません。姿勢を保つクッションを組み合わせて、向きを変える回数そのものを減らす考え方もあります。

訪問介護やデイサービスでも同じ道具を使うことがあります。事業所の職員に、家で使いやすいものを聞いてみると外れが減ります。

借りる前に、いまのやり方を見てもらう

どの布が合うかは、その家でどう介助しているかによって決まります。ベッドの向き、壁までの余裕、介助する人の背丈。同じ道具でも、置き方が変われば使えなくなります。

福祉用具の専門相談員に、実際に介助する場面を見てもらってください。カタログから選ぶより外れません。訪問看護師や訪問リハビリの職員が入っているなら、その人にも同席してもらうと使い方まで教われます。

体位変換器を使うときに気をつけること

滑る布は、敷いたままにしません。滑るということは、本人が動こうとしたときにも滑るということです。使い終わったら必ず抜きます。

クッションで姿勢を作るとき、体の下に入れたところが逆に圧のかかる場所になります。同じ入れ方を続けず、向きを変えるたびに位置をずらします。

滑らせる方向にベッドの柵があると、そこへ体を押し当てることになります。動かす前に、どこまで動かすかを決めてから始めます。

ベッドの高さを上げないまま使うと、体を滑らせるときに介助する人が腰を折り曲げることになります。滑る布の効き目が半分になるので、先にベッドの高さを腰の位置まで上げてください。

介護保険を使わずに借りるとき

要支援と要介護1は原則として介護保険の対象外です。滑る布は市販もされていて、数千円から1万円ほどで買えます。使う頻度が高い道具なので、自費で買っても無駄になりにくい品目です。

クッションは、家にある座布団やバスタオルを丸めたもので代わりにできることもあります。ただし形が崩れると圧が一点に集まるので、長く使うなら専用のものを考えます。

体位変換器を使い終わったら

借りたものは返して消毒されます。滑る布は洗って点検され、傷みがあれば処分されて新しいものが次の人へ回ります。

自費で買った布やクッションは、燃えるごみか燃えないごみかが市区町村によって分かれます。大きなクッションは粗大ごみになることがあるので、捨てる前に分別を確かめてください。

体位変換器のよくある質問

介護ベッドがなくても借りられますか。

借りられます。体位変換器は単独の品目なので、布団で寝ている場合でも対象になります。

バスタオルで代用できませんか。

摩擦が大きいので、滑らせる目的には向きません。引っ張ったときに皮膚がこすれ、かえって床ずれの元になります。

1日に何回、向きを変えればよいですか。

2時間ごとが目安とされてきましたが、体の状態と使っているマットレスによって変わります。皮膚が赤くなる間隔を見ながら、訪問看護師やケアマネジャーと決めてください。

滑る布は洗えますか。

借りたものは事業所が洗って消毒します。家庭で洗ってよいかは製品によって違うので、汚れたときの扱いを借りるときに聞いておいてください。

体位変換器と一緒に使うことが多い品目

この品目の解説

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