福祉用具貸与費の算定でつまずくところ

専門職向けの実務 / 2026-08-23 公開 / 約2,100字

福祉用具貸与は、ほかの介護給付と算定のしかたが違います。単位数の表を探しても見つからないのはそのためです。何をもとに計算するのかというところから整理します。

単位数は設定されていない

訪問介護や通所介護には単位数が定められていますが、福祉用具貸与には単位数の設定がありません。 事業所が商品ごとに定めた貸与価格が、そのまま算定の基礎になります。地域区分による単価の割増も適用されません。

価格を事業所が定める仕組みである以上、同じ商品でも事業所によって値が違います。そこに歯止めをかけているのが、商品ごとに設定された上限価格です。上限価格を超えて設定した場合、その商品は保険給付の対象になりません。 事業所側の値付けの問題であって、利用者の負担割合の話ではないところに注意してください。

上限価格と全国平均貸与価格

言葉何を指すか実務での使いどころ
貸与価格その事業所がその商品に定めた価格算定の基礎。利用者への説明の中心
全国平均貸与価格同じ商品の全国での平均利用者に示して比べてもらうための数字
上限価格商品ごとに定められた給付の上限超えると保険給付の対象外になる

この3つは、商品ごとに公表される情報をもとに更新されます。新しく取り扱いを始めた商品や、公表の値が改定された商品では、自社の設定を見直す必要があります。 取扱商品が多い事業所ほど、更新の取りこぼしが起こりやすいところです。

利用者への説明では、全国平均貸与価格と自社の貸与価格の両方を示します。数字の意味が伝わらないまま並べても選ぶ材料になりませんから、「同じような商品の全国の平均がこの額で、当事業所はこの額です」という形で言い添えてください。

月の途中で始めたとき、終えたとき

福祉用具貸与費は月を単位として算定するのが基本ですが、月の途中で開始または終了した場合の扱いは、半月の考え方が置かれています。同じ月に開始と中止があった場合の扱いも別に定められているため、日数だけを見て機械的に按分しないでください。

実務では、搬入した日と、実際に使い始めた日がずれることがあります。どちらを起算日にするのかは、契約と記録の書き方で決まります。搬入日を記録に残しておかないと、後から説明できません。 利用者から料金の問い合わせがあったときに答えられる形にしておいてください。

搬出入や調整にかかる費用

用具の搬入と搬出、体に合わせる調整にかかる費用は、貸与費に含まれるものとして扱われます。これらを別に請求することはできません。 引き取りに来るのに費用がかかると言われた、という相談が利用者から寄せられることがありますが、通常の搬出はこれに当たります。

一方で、通常の実施地域を越えた場所への交通費など、別に定めがあるものは扱いが異なります。運営規程と重要事項説明書に書いてあるかどうかが分かれ目になるので、契約時の書面と揃っているかを確かめてください。

ここに書いたのは算定の考え方です。取扱いの細部は改定で変わり、保険者による運用の差もあります。請求の前に、その時点の通知と保険者の案内で確かめてください。

給付管理と限度額の関係

貸与費は、区分支給限度基準額の中に含まれます。

訪問や通所を組んだうえで用具を足すと、限度額を超えることがあります。

超えた分は全額が利用者の負担になります。 組む段階で確かめてください。

同じ品目を複数借りるとき

手すりを複数、車いすを二台。同じ品目を複数貸与する場合があります。

それぞれについて、なぜ必要なのかが説明できる必要があります。

計画書と、居宅サービス計画の両方に、その理由を残してください。 数だけが並んでいると、根拠が見えません。

返却の連絡が遅れたとき

利用者が返したつもりでも、引き取りが済んでいなければ貸与は続いています。

月をまたぐと、請求と実態がずれます。 引き取りの日付を記録で押さえてください。

入院や入所の連絡が遅れる例が多くあります。 ケアマネジャーと事業所の間で、連絡の手順を決めておいてください。

誤りが分かったとき

請求したあとに誤りが分かったら、過誤の申し立てによって取り下げ、正しい内容で請求し直します。

締めの時期によって、同月中の扱いになるか、翌月以降になるかが変わります。

利用者負担の返金が生じる場合は、先に説明してください。 請求の訂正だけを済ませると、あとで信頼を失います。

同じ品目を2つ借りるときは、どう算定しますか

商品ごとに貸与価格が設定されているので、それぞれについて算定します。手すりのように複数本を借りる場面が多い品目では、本数を計画書と請求で一致させてください。

上限価格が引き下げられたら、既に貸与中のものはどうなりますか

見直しの適用時期は改定のたびに示されます。適用後も従前の価格のままにしていると給付の対象から外れるため、対象商品の一覧と自社の設定を突き合わせる作業が要ります。

利用者が自費で追加の付属品を希望した場合は

保険給付の対象になる部分と自費の部分を分けて説明し、書面で残してください。同じ請求書の中で区別がつかない書き方にすると、あとで説明ができなくなります。

出典

制度の運用と自己負担の額は市区町村によって異なります。 最終的な確認は担当のケアマネジャーか市区町村の窓口へお願いします。

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