複数の商品を提示してもらう権利

介護保険とお金 / 2026-08-22 公開 / 約1,800字

福祉用具を選ぶとき、事業所が持ってきた1つを受け入れるしかないと思っている人が少なくありません。実際には、複数の商品を示して比べられるようにすることが事業所の義務です。

機能や価格帯の違う商品を示すことになっている

福祉用具貸与事業所は、利用者に商品を提案するとき、機能や価格帯の異なる複数の商品を示すことになっています。同じような商品を並べるのではなく、選ぶ意味のある違いがある商品を示すという趣旨です。

選定した理由の説明も求められます。なぜその商品を勧めるのか、他の商品ではなぜ足りないのかを聞けば答えが返ってくるはずです。

比べるときに見るところ

価格だけを見比べても決められません。体に合うかどうか、家に入るかどうか、扱えるかどうかを合わせて見ます。

介護ベッドなら、モーターの数、幅、高さの下限、柵の形。車いすなら、座面の幅と奥行き、折りたたんだときの大きさ、重さ。歩行器なら、握りの高さと持ち上げられる重さ。どれも実際に触って試したほうが早くわかります。

見るところ確かめかた
体に合うか実際に座る、握る、立ち上がってみる
家に入るか搬入経路と置く場所を測っておく
扱えるか介助する家族が動かせる重さかを試す
費用貸与価格と全国平均貸与価格を並べて見る
手入れ洗える部分と交換部品の有無

提示がなかったときは

1つしか示されなかった場合は、他の選択肢はないのかと尋ねてください。在庫や体の条件から本当に1つしか適さないこともありますが、その場合はその理由が説明されるはずです。

説明に納得できなければ、ケアマネジャーに伝えて別の事業所の見積もりを取ることもできます。事業所を選ぶ権利は利用者の側にあります。

価格の根拠を尋ねてよい

同じ商品でも、事業所によって貸与価格が違います。全国平均貸与価格と上限価格が公表されているので、示された金額がどのあたりに位置するのかを確かめられます。

高いほうを勧められたなら、何が違うのかを聞いてください。搬入時の調整、点検の頻度、故障時の対応。価格の差が中身の差であるなら、それは納得できる説明になります。

デモ機を借りて数日試せる事業所もあります。迷っているときは試用ができるかを尋ねてみてください。

示された紙は、残しておく

複数の商品を示されたら、その紙を手元に残してください。 あとで見直すときの材料になります。

何と何を比べて、なぜこれにしたのか。理由が残っていると、次に選ぶときも早くなります。

口頭で三つ挙げられただけでは、比べたことになりません。 紙で出してもらってください。

迷ったら、二つに絞る

三つも四つも並べられると、決められなくなります。まず条件に合わないものを外して、二つにしてください。

外す基準は、置き場所と使う人の力です。部屋に入らない、重くて動かせない。 ここで多くが消えます。

残った二つは、実物を見て決めてください。 写真と実物では、大きさの感じ方が違います。

価格帯だけで選ばない

真ん中を選べば無難、という決め方をしがちですが、必要な機能があるかどうかが先です。

安いほうに要る機能がないなら、高いほうが正解です。高いほうに要らない機能しかないなら、安いほうが正解です。

何が違うのかを、機能の名前ではなく動作で説明してもらってください。 「これがあると、一人で立てます」という説明なら判断できます。

提示のないまま契約したとき

あとからでも、ほかの商品を示すよう求められます。 契約を続けたまま、比べ直せます。

示されないままの状態が続くなら、ケアマネジャーに伝えてください。 事業所に義務づけられていることです。

事業所を替えることもできます。 借りている用具はそのまま引き継げる場合が多くあります。

高い商品ばかり勧められている気がします。

価格帯の異なる商品を示すのが義務なので、安いほうの選択肢も出してもらってください。機能の差が体の状態にとって意味があるのかを聞けば、判断の材料になります。

自分で商品を指定してもよいですか。

構いません。ただし体に合うかどうかは相談員の見立てを聞いてください。指定した商品が体に合わないと判断された場合は、その理由を説明してもらえます。

出典

制度の運用と自己負担の額は市区町村によって異なります。 最終的な確認は担当のケアマネジャーか市区町村の窓口へお願いします。

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