福祉用具貸与計画書の書き方
貸与計画書は、選んだ理由をあとから説明できる形で残すための書類です。様式は事業所ごとに違っても、書くべき中身は共通しています。埋めることが目的にならないように、それぞれの欄が何のためにあるかから見ていきます。
計画書は選定の理由を残すための書類
福祉用具貸与計画書は、福祉用具専門相談員が作り、利用者と家族に説明して同意を得たうえで交付し、担当のケアマネジャーにも渡します。この「ケアマネジャーへの交付」までが一連の手順です。 事業所の中に控えを置いただけでは完結しません。
書類の目的は、記録を残すこと自体ではなく、半年後・1年後に別の人が読んでも判断の筋道をたどれるようにすることです。担当者が替わる、家族が説明を求める、保険者が確認に入る。どの場面でも読まれる前提で書いてください。
欄ごとに何を書くか
| 欄 | 書く中身 | 薄くなりがちな書き方 |
|---|---|---|
| 利用者の希望 | 本人と家族それぞれの言葉。食い違うならその両方 | 「本人・家族とも希望あり」だけ |
| アセスメント | 身体機能、住環境の寸法、介助者の有無と時間帯 | 要介護度と病名だけ |
| 選定の理由 | その課題に対して、その機能が要る理由 | 「歩行が不安定なため」だけで機種に届いていない |
| 利用目標 | 達成したかどうかを他人が判定できる水準 | 「安全に生活する」 |
| 機種と品目 | 品目、機種、数量、貸与価格 | 品目のみで機種が空欄 |
| 留意事項 | 使ってはいけない場面、介助者への注意 | 空欄 |
| モニタリングの計画 | 確かめる時期と、確かめる内容 | 「随時」 |
欄の並びは様式によって前後しますが、中身の関係は変わりません。アセスメントで見たことが選定の理由になり、選定の理由が利用目標につながり、利用目標がモニタリングで確かめる内容になるという流れです。どこか1つが薄いと、その先の欄が書けなくなります。
手を抜かれやすいのが留意事項の欄です。事故のあと、危険をどこまで伝えていたかを示せるのはこの欄だけになります。 ベッド柵のすき間、スロープの角度と介助の要否、歩行器を段差で使わないこと。使い方を誤ると危険が生じる点は、口頭で伝えたうえで、必ず書いてください。
複数の商品を提示した記録の残し方
同じ機能の商品を複数提示して、それぞれの特徴と貸与価格を説明する手順は、制度側で求められているものです。提示した事実を書類に残さないと、後から確かめる方法がありません。提示した商品名、それぞれの貸与価格、選ばれた理由の3点を計画書か別紙に残してください。
全国平均貸与価格と上限価格の説明も同じです。「説明済み」とだけ書くのではなく、そのとき示した価格の水準が分かるようにしておくと、価格の見直しがあったときに比べられます。上限価格のしくみそのものは「全国平均貸与価格と上限価格のしくみ」で扱っています。
居宅サービス計画との整合を取る
貸与計画の目標が、ケアプランの短期目標と別物になっている書類をときどき見かけます。貸与計画はケアプランに沿って作るものなので、目標の水準がずれていたら、どちらかが古いという合図です。 変更があったときは両方を直してください。
実務では、ケアプランの変更が先に走って貸与計画が残ることが多くなります。担当者会議の場で、その日のうちに貸与計画の見直しが要るかどうかを決めておくと、取りこぼしが減ります。
同意を得る前に説明すること
計画書は、説明し、同意を得て、交付するという順序で扱われます。
説明の内容には、選定した理由、複数の商品の提示、費用が含まれます。
同意を得たという記録だけがあって、説明の中身が残っていない。 この形が指摘を受けます。
交付する相手と保管
利用者へ交付するとともに、居宅介護支援事業所へも交付します。
ケアプランとの整合を確かめる側にも、同じ書類が渡っている必要があります。
保存の期間は定められています。 事業所として、いつまで残すかを決めておいてください。
品目が増減したときの作り直し
一品目を追加した、返却した。そのつど計画書を作成し直します。
最初の計画書に手書きで足す、という扱いでは選定の理由が残りません。
居宅サービス計画の変更とも、時期をそろえてください。 片方だけ新しい状態が生まれます。
モニタリングの記録との対応
計画書に書いた目標と、モニタリングで確かめる項目が対応しているか。
目標が抽象的だと、確かめようがありません。 何がどうなれば達成なのかを書きます。
達成したなら、次の目標へ更新するか、終了を検討します。 同じ計画書が何年も続くのは、見直しをしていない証拠になります。
同じ利用者に用具を追加するとき、計画書は作り直しますか
追加した用具を含めた形に更新します。別紙で追記する運用にしている事業所もありますが、いずれにしても、その時点の一式が1つの書類から読み取れる状態にしてください。
利用者が署名を拒んだときはどうしますか
説明した内容と、同意が得られなかった経緯を記録に残します。同意がないまま貸与を続けると、あとで費用の説明ができません。ケアマネジャーに共有して、どこに納得できていないのかを一緒に確かめてください。
モニタリングの時期はどう決めますか
状態が動きやすい導入直後は短く、落ち着いたら間隔を空けるのが一般的です。時期を計画書に書いたうえで、実際に行った日と内容を記録し、ケアマネジャーに渡します。
出典
- 厚生労働省 介護保険制度における福祉用具貸与・販売の概要(PDF) 2026-08-22 確認
- 厚生労働省 介護報酬改定Q&A(福祉用具・住宅改修分抜粋)(PDF) 2026-08-22 確認
- テクノエイド協会 福祉用具貸与価格適正化推進事業(厚生労働省) 2026-08-22 確認
制度の運用と自己負担の額は市区町村によって異なります。 最終的な確認は担当のケアマネジャーか市区町村の窓口へお願いします。
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