用具を減らすという選択

選び方と使い方 / 2026-08-22 公開 / 約1,400字

福祉用具の相談は、たいてい「何を足すか」から始まります。けれども、使わなくなったものを返し、支えを減らしていくことも同じくらい大事です。支えすぎると、残っていた力まで落ちます。

支えすぎると力が落ちる

歩けるのに車いすに座り続ければ、歩く力は落ちます。自分で寝返りが打てるのに柔らかいマットレスで包み込めば、寝返りを打つ力が落ちます。

福祉用具は、できなくなった動作を補うためのものであって、できる動作を代わりにやってしまうためのものではありません。 この線引きが、用具を減らす判断の根拠になります。

減らす合図

使っていない用具がある。以前より楽に立てるようになった。歩ける距離がのびた。リハビリの担当者から動きがよくなったと言われた。これらは見直しの合図です。

貸与計画書に書いた目標が達成できているかを見てください。 「朝ひとりで起き上がれるようになる」が達成できているなら、次は何を目指すのかを考える時期です。

変化見直すこと
歩ける距離がのびた車いす、歩行器を減らせるか
自分で寝返りが打てるエアマットから静止型へ
立ち上がりが楽になった手すりの数、ベッドの機能
使っていない用具がある返却する
リハビリが進んだ全体をもう一度見直す

一度に全部を返さない

減らすときは1つずつ、様子を見ながら進めます。返した翌週に転んだ、では意味がありません。 まず使う頻度を減らしてみて、なくても大丈夫だと確かめてから返します。

季節や体調で変わることもあります。夏は歩けても冬は動きが鈍る、という人は少なくありません。減らす時期も見ておいてください。

減らすことを提案してもらえる関係をつくる

事業所にとって、用具を返してもらうことは売上が減ることでもあります。それでも、体の状態に合わせて提案するのが福祉用具専門相談員の役目です。

モニタリングのときに「減らせるものはありますか」と尋ねてみてください。 その問いに正面から答えてくれるかどうかは、事業所を見きわめる材料にもなります。

減らすと決めたら、記録する

いつ何を返したか、そのあとどうだったか。 書いておくと、判断が正しかったかどうかが分かります。

返したあとに転んだ、動きが減った。こうした変化は、戻す理由になります。

感覚で「大丈夫そう」と決めると、あとで検証できません。 短くて構わないので、残してください。

季節と体調で、戻すこともある

夏は歩けても、冬は動きが鈍くなる人がいます。

返したものを、もう一度借りることはできます。 一度返したら終わり、ではありません。

時期を見て決める。 体調が落ちる季節の直前に減らすのは、順序として向きません。

用具を減らして、人の手を足す

用具を返すと、限度額の枠に余裕ができます。

その分を、訪問介護やリハビリに回せます。 道具より人の手のほうが効く場面があります。

枠の使い方を、ケアマネジャーと一緒に組み直してください。 減らすことは、別のものを増やす機会です。

返したあとの見守り

返した直後は、しばらく様子を見てください。 慣れた道具がなくなると、動きが変わります。

一週間、二週間と時間を置いて、同じ動作ができているかを確かめる。

モニタリングを前倒ししてもらえないかを聞いてください。 減らしたあとこそ、見てもらう価値があります。

出典

制度の運用と自己負担の額は市区町村によって異なります。 最終的な確認は担当のケアマネジャーか市区町村の窓口へお願いします。

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