軽度者への例外給付、判断の順序と書類の残し方
軽度者の例外給付は、可否を決めるのが保険者であるところが実務の要点です。事業所やケアマネジャーが「該当する」と判断して先に貸与を始めると、あとから給付されないことがあります。順序を間違えないための整理をします。
原則と例外の関係
要支援1・2と要介護1の人は、車いす、車いす付属品、特殊寝台、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト(つり具を除く)について、原則として保険給付の対象になりません。自動排泄処理装置は、これとは別に要介護4・5が原則です。
例外は、状態像が該当することを確かめたうえで、保険者が認めた場合に開きます。 ここで押さえておきたいのは、例外に当たるかどうかの判断が2つの道に分かれていることです。認定調査の基本調査の結果で確かめられる場合と、それでは確かめられない場合があります。
判断の順序
| 順 | やること | つまずきやすいところ |
|---|---|---|
| 1 | 認定調査票の基本調査の結果を確認する | 写しが手元に無いまま次へ進んでしまう |
| 2 | 調査票で確かめられない状態なら、医師の医学的な所見を得る | 何を書いてほしいのかを伝えずに依頼する |
| 3 | サービス担当者会議で必要性を検討し、記録に残す | 会議を開いたことだけを書いて中身が残らない |
| 4 | 市町村に確認し、認められてから貸与を始める | 確認を待たずに搬入してしまう |
順序で最も間違えられるのが4番目です。 手続きの途中で貸与を始めてしまうと、認められなかったときに費用の扱いに困ります。急を要する場合は、自費での貸与を挟むのか、認められるまで待つのかを、利用者と先に決めておいてください。
基本調査の結果を使う道が取れるかどうかは、まず認定調査票を見ることで分かります。ケアマネジャーの手元に写しが無ければ、利用者本人が市町村に開示を求められます。医師の所見から取りに行く前に、この確認を先にしてください。 手間の量がかなり変わります。
医学的な所見を求めるときの伝え方
主治医に意見を求めるときは、「例外給付のために意見をください」とだけ伝えても、何を書けばよいかが伝わりません。その用具が要る場面と、いま起きている困りごとを具体的に示して、そこに医学的な見立てをもらうという頼み方にしてください。
状態が日によって変わる、短期間で悪化が見込まれる、といった軽度者の例外に関わる状態像は、外来の短い診察では見えません。訪問時の様子や家族の記録を添えると、医師が判断しやすくなります。主治医意見書へ何を伝えるかは「主治医意見書のために医師へ伝えること」でも扱っています。
残しておく書類
| 書類 | 何を示すためのもの | 置き場所 |
|---|---|---|
| 認定調査票(基本調査)の写し | 状態像が該当すること | 事業所・居宅介護支援事業所 |
| 医師の所見の記録 | 調査票で確かめられない状態であること | 同上 |
| サービス担当者会議の記録 | 必要性を多職種で検討したこと | 居宅介護支援事業所 |
| 市町村への確認とその回答 | 保険者が認めたこと | 両方に控えを置く |
| 貸与計画書 | 選んだ機種と、その理由 | 事業所・ケアマネジャーへ交付 |
表の書類は、置き場所が事業所と居宅介護支援事業所に分かれます。どちらか片方にしか無い状態を作らないでください。担当者が替わったとき、あるいは実地指導で求められたときに、片方だけでは経緯を示せません。
確認の方法と様式は市町村ごとに違います。同じ都道府県の中でも書式が別ということは珍しくないので、担当する保険者ごとに手順を控えておくと早くなります。「前の市と同じはず」で進めないのが実務上のこつです。
状態像は、日内変動を含めて書く
調子の良いときだけを見れば、該当しないと判断されます。
朝と夕方で違う、痛みの強い日がある。変動があること自体が状態像です。
いつ、どのような状態になるのかを、具体的に記録してください。 「ときどき」では判断材料になりません。
担当者会議の記録が根拠になる
医師の所見、リハビリ職の見立て、会議で共有された内容。 これらが判断の土台になります。
会議録に、誰がどの立場でどう述べたかが残っている必要があります。
欠席した職種からは、書面で意見を得てください。 口頭の伝聞では根拠になりません。
更新のたびに確かめ直す
一度認められた状態が、そのまま続く前提では扱えません。
認定の更新、区分の変更。そのつど、要件を満たしているかを確かめます。
市町村ごとに、確認の頻度や様式の扱いが異なります。 担当の窓口に手順を確かめてください。
該当しないと判断されたとき
可否を決めるのは市町村です。該当しないという判断が出ることがあります。
その場合に、保険を使わない貸与や、購入、住宅改修で代えられないかを検討します。
代替案を用意してから相談するほうが、利用者を宙ぶらりんにしません。 判断を待つ間の生活も続いています。
更新認定で要介護2から要介護1に下がったら、貸与は止まりますか
原則対象外の品目であれば、そのままでは給付が続きません。認定結果が出た時点で例外給付の手続きに入るか、自費に切り替えるか、別の手立てを取るかを決める必要があります。更新のたびに確認する習慣にしてください。
手すりやスロープ、歩行器は例外給付の手続きが要りますか
原則対象外の品目に含まれないので、要支援・要介護1でも通常どおり貸与できます。どの品目が原則対象外なのかを取り違えると、不要な手続きを踏むことになります。
市町村の確認が下りる前に貸与を始めてしまいました
その期間の扱いを保険者に確認してください。さかのぼって認められない運用の市町村もあります。利用者に費用の説明をしないまま進めないことが大切です。
出典
- 厚生労働省 要支援・要介護1の方に対する貸与について(PDF) 2026-08-22 確認
- 厚生労働省 介護報酬改定Q&A(福祉用具・住宅改修分抜粋)(PDF) 2026-08-22 確認
- デジタル庁 e-Gov法令検索 介護保険法施行規則(平成十一年厚生省令第三十六号) 2026-08-22 確認
制度の運用と自己負担の額は市区町村によって異なります。 最終的な確認は担当のケアマネジャーか市区町村の窓口へお願いします。
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