軽度者への例外給付、判断の順序と書類の残し方

専門職向けの実務 / 2026-08-23 公開 / 2026-08-25 更新 / 約2,400字

軽度者の例外給付は、可否を決めるのが保険者であるところが実務の要点です。事業所やケアマネジャーが「該当する」と判断して先に貸与を始めると、あとから給付されないことがあります。順序を間違えないための整理をします。

原則と例外の関係

要支援1・2と要介護1の人は、車いす、車いす付属品、特殊寝台、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト(つり具を除く)について、原則として保険給付の対象になりません。自動排泄処理装置は、これとは別に要介護4・5が原則です。

例外は、状態像が該当することを確かめたうえで、保険者が認めた場合に開きます。 ここで押さえておきたいのは、例外に当たるかどうかの判断が2つの道に分かれていることです。認定調査の基本調査の結果で確かめられる場合と、それでは確かめられない場合があります。

判断の順序

順やることつまずきやすいところ
1認定調査票の基本調査の結果を確認する写しが手元に無いまま次へ進んでしまう
2調査票で確かめられない状態なら、医師の医学的な所見を得る何を書いてほしいのかを伝えずに依頼する
3サービス担当者会議で必要性を検討し、記録に残す会議を開いたことだけを書いて中身が残らない
4市町村に確認し、認められてから貸与を始める確認を待たずに搬入してしまう

順序で最も間違えられるのが4番目です。 手続きの途中で貸与を始めてしまうと、認められなかったときに費用の扱いに困ります。急を要する場合は、自費での貸与を挟むのか、認められるまで待つのかを、利用者と先に決めておいてください。

基本調査の結果を使う道が取れるかどうかは、まず認定調査票を見ることで分かります。ケアマネジャーの手元に写しが無ければ、利用者本人が市町村に開示を求められます。医師の所見から取りに行く前に、この確認を先にしてください。 手間の量がかなり変わります。

医学的な所見を求めるときの伝え方

主治医に意見を求めるときは、「例外給付のために意見をください」とだけ伝えても、何を書けばよいかが伝わりません。その用具が要る場面と、いま起きている困りごとを具体的に示して、そこに医学的な見立てをもらうという頼み方にしてください。

状態が日によって変わる、短期間で悪化が見込まれる、といった軽度者の例外に関わる状態像は、外来の短い診察では見えません。訪問時の様子や家族の記録を添えると、医師が判断しやすくなります。主治医意見書へ何を伝えるかは「主治医意見書のために医師へ伝えること」でも扱っています。

残しておく書類

書類何を示すためのもの置き場所
認定調査票(基本調査)の写し状態像が該当すること事業所・居宅介護支援事業所
医師の所見の記録調査票で確かめられない状態であること同上
サービス担当者会議の記録必要性を多職種で検討したこと居宅介護支援事業所
市町村への確認とその回答保険者が認めたこと両方に控えを置く
貸与計画書選んだ機種と、その理由事業所・ケアマネジャーへ交付

表の書類は、置き場所が事業所と居宅介護支援事業所に分かれます。どちらか片方にしか無い状態を作らないでください。担当者が替わったとき、あるいは実地指導で求められたときに、片方だけでは経緯を示せません。

確認の方法と様式は市町村ごとに違います。同じ都道府県の中でも書式が別ということは珍しくないので、担当する保険者ごとに手順を控えておくと早くなります。「前の市と同じはず」で進めないのが実務上のこつです。

ここに書いたのは手順の考え方です。例外給付を認めるかどうかを決めるのは市町村なので、個々の可否は必ず保険者に確認してください。

状態像は、日内変動を含めて書く

調子の良いときだけを見れば、該当しないと判断されます。

朝と夕方で違う、痛みの強い日がある。変動があること自体が状態像です。

いつ、どのような状態になるのかを、具体的に記録してください。 「ときどき」では判断材料になりません。

担当者会議の記録が根拠になる

医師の所見、リハビリ職の見立て、会議で共有された内容。 これらが判断の土台になります。

会議録に、誰がどの立場でどう述べたかが残っている必要があります。

欠席した職種からは、書面で意見を得てください。 口頭の伝聞では根拠になりません。

更新のたびに確かめ直す

一度認められた状態が、そのまま続く前提では扱えません。

認定の更新、区分の変更。そのつど、要件を満たしているかを確かめます。

市町村ごとに、確認の頻度や様式の扱いが異なります。 担当の窓口に手順を確かめてください。

該当しないと判断されたとき

可否を決めるのは市町村です。該当しないという判断が出ることがあります。

その場合に、保険を使わない貸与や、購入、住宅改修で代えられないかを検討します。

代替案を用意してから相談するほうが、利用者を宙ぶらりんにしません。 判断を待つ間の生活も続いています。

更新認定で要介護2から要介護1に下がったら、貸与は止まりますか

原則対象外の品目であれば、そのままでは給付が続きません。認定結果が出た時点で例外給付の手続きに入るか、自費に切り替えるか、別の手立てを取るかを決める必要があります。更新のたびに確認する習慣にしてください。

手すりやスロープ、歩行器は例外給付の手続きが要りますか

原則対象外の品目に含まれないので、要支援・要介護1でも通常どおり貸与できます。どの品目が原則対象外なのかを取り違えると、不要な手続きを踏むことになります。

市町村の確認が下りる前に貸与を始めてしまいました

その期間の扱いを保険者に確認してください。さかのぼって認められない運用の市町村もあります。利用者に費用の説明をしないまま進めないことが大切です。

出典

制度の運用と自己負担の額は市区町村によって異なります。 最終的な確認は担当のケアマネジャーか市区町村の窓口へお願いします。

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