要支援・要介護1でも借りられる福祉用具と、例外の道
要支援1・2と要介護1の人は、介護ベッドや車いすを介護保険で借りることが原則としてできません。これは軽度者への貸与制限と呼ばれるしくみです。ただし体の状態によっては認められる道があり、その手続きを知らないまま諦めている人が少なくありません。
制限がかかる品目とかからない品目
制限の対象になるのは、車いす、車いす付属品、特殊寝台、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフトです。自動排泄処理装置はさらに厳しく、要介護4・5の人が対象になります。
逆に、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえの4つには制限がありません。 要支援1の人でも借りられます。転倒を防ぐ目的の用具が制限の外に置かれているのは、介護予防の考え方に沿ったものです。
| 要介護度 | 手すり・スロープ・歩行器・つえ | 車いす・介護ベッドなど8品目 | 自動排泄処理装置 |
|---|---|---|---|
| 要支援1・2 | 借りられる | 原則として借りられない | 借りられない |
| 要介護1 | 借りられる | 原則として借りられない | 借りられない |
| 要介護2・3 | 借りられる | 借りられる | 借りられない |
| 要介護4・5 | 借りられる | 借りられる | 借りられる |
なぜ制限があるのか
制度の考え方としては、まだ自分でできることが多い段階で車いすや介護ベッドを使うと、使わなくてよかった力まで落ちてしまう、という懸念があります。歩ける人を車いすに座らせ続ければ、歩く力は確かに落ちます。
ただしこれは平均的な話で、要介護1でも状態が特殊な人はいます。だからこそ例外の道が用意されています。
例外給付が認められる三つの状態
厚生労働大臣が定める条件に当てはまれば、軽度者でも借りられます。条件は品目ごとに決められていて、たとえば特殊寝台なら「日常的に起き上がりが困難な者」または「日常的に寝返りが困難な者」です。車いすなら「日常的に歩行が困難な者」または「日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる者」です。
これらに当てはまるかどうかは、まず要介護認定を受けたときの認定調査票の結果で見ます。調査票の該当項目が「できない」となっていれば、その時点で条件を満たします。認定調査のときに実際より軽く伝えてしまうと、ここで不利になります。
もうひとつの道が、状態が変動する場合の判断です。パーキンソン病のように日によって動きが大きく変わる人や、がんの末期のようにこれから急速に状態が変わることが見込まれる人は、医師の医学的な所見をもとに認められることがあります。この場合はサービス担当者会議を開き、市町村に確認を求める手続きが要ります。
手続きはケアマネジャーが進める
例外給付を求める手続きは、ケアマネジャーが中心になって進めます。医師の意見を文書でもらい、サービス担当者会議で必要性を確かめ、市町村へ届け出るという流れです。
市町村によって求める書式や判断の細かさが違うので、日数もまちまちです。急ぐ場合は、認められるまでのあいだ自費で借りておき、認められた時点で切り替える方法が取られることもあります。
「要介護1だから無理です」とだけ言われて話が終わったなら、例外の可能性を確かめたかを聞き返してみてください。手続きの手間から、最初から諦めてしまう例があります。
判断の材料になる書類
例外として認めてもらうには、その状態にあることが分かる資料が要ります。
認定調査票の該当する項目、主治医意見書、医師が書いた所見。どれが必要かは市区町村によって違います。
そろえるのはケアマネジャーですが、医師に伝えるのは本人と家族です。 診察の場で困っていることを言わないと、書類に残りません。
認められなかったときの道
例外が認められなくても、用具そのものをあきらめる必要はありません。 保険を使わずに借りる方法があります。
費用は全額が自己負担になりますが、手続きは短く、認定の有無も問われません。 事業所の多くが扱っています。
時間が経って状態が変われば、もう一度申し立てられます。 一度断られたら終わり、ではありません。
要介護度が上がったときの切り替え
区分変更や更新で要介護度が上がると、制限のかかっていた品目が普通に借りられるようになります。
保険を使わずに借りていた用具は、そのまま介護保険の貸与に切り替えられることが多くあります。 同じ事業所なら、入れ替えの手間もありません。
切り替えの時期は、ケアプランの見直しと合わせます。 月をまたぐ数え方があるので、いつからにするかを事業所に確かめてください。
市区町村によって運用が違う
例外を認めるかどうかを決めるのは市区町村です。同じ状態でも、判断が分かれることがあります。
事前に届け出る形をとる市区町村もあれば、貸与を始めてから確認する形のところもあります。 順番を間違えると、あとから費用の扱いでもめます。
「認められます」と言い切る説明には注意してください。 決めるのは市区町村です。確認を取ってから進めるのが確実です。
例外給付が認められたら、ずっと借りられますか。
状態が続いているあいだは借りられます。ただし要介護認定を更新するたびに、条件を満たしているかが改めて確かめられます。
認定調査票の内容は自分で見られますか。
市町村に開示を求めれば見られます。手続きの仕方は市町村の介護保険担当窓口で教えてもらえます。
要支援でも介護ベッドを自費で借りることはできますか。
できます。保険を使わない自費のレンタルは要介護度に関係なく利用できます。料金は全額自己負担になるので、月々いくらになるかを確かめてから決めてください。
出典
- 厚生労働省 要支援・要介護1の方に対する貸与について(PDF) 2026-08-22 確認
- 厚生労働省 介護保険制度における福祉用具貸与・販売の概要(PDF) 2026-08-22 確認
- デジタル庁 e-Gov法令検索 介護保険法施行規則(平成十一年厚生省令第三十六号) 2026-08-22 確認
制度の運用と自己負担の額は市区町村によって異なります。 最終的な確認は担当のケアマネジャーか市区町村の窓口へお願いします。
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