シルバーカーと歩行車は別のもの、介護保険で借りられるのはどちらか
売り場では隣に並んでいますが、シルバーカーと歩行車は用途の違う道具です。片方は荷物を運ぶためのもの、もう片方は体を支えるためのもの。この違いを知らずに買うと、支えのつもりで押していた道具が、転ぶ原因になります。
体重を預けられるかどうかで分かれる
シルバーカーは、自分の足で歩ける人が荷物を運び、疲れたときに腰かけるための道具です。体を支えることを想定してつくられていません。
歩行車は、体重の一部を腕で受けながら歩くための福祉用具です。前かがみになって寄りかかっても倒れにくいように、車輪の位置と重心が設計されています。
見分け方は、支えるつもりで押しているかどうかです。 荷物入れがついていて座面があると同じに見えますが、寄りかかった瞬間に前へ滑り出すのがシルバーカー、踏みとどまるのが歩行車です。
介護保険で借りられるのは歩行車のほう
介護保険の福祉用具貸与は、歩行器という品目の中で歩行車を扱っています。シルバーカーは、この品目には含まれません。
したがってシルバーカーは、自分で買うことになります。数千円から数万円まで幅があり、大きさも重さもさまざまです。買ってから合わないと分かっても、制度上の交換のしくみはありません。
歩行車なら借りて試せます。合わなければ替えられ、体が変われば別の型に変更できます。支えが要る段階に来ているなら、買う前にケアマネジャーへ相談してください。
支えのつもりでシルバーカーを使うと危ない
製品事故を集めている機関が、シルバーカーと歩行車での転倒を繰り返し取り上げています。多いのは、体重をかけたときに動いてしまう形の事故です。
座面に腰かけるときも同じです。ブレーキをかけずに座ると、そのまま前へ出ます。座るための道具でありながら、座るときがいちばん危ない。 ここは説明書に必ず書かれています。
下り坂では、押す道具がひとりでに先へ行きます。体より先に道具が進むと、引っぱられて前のめりになります。 傾きのある道では、握りをしっかり引き寄せて、歩幅を小さくしてください。
歩行車にも、いくつかの型がある
車輪が四つあり、両手で握って前に押す形が一般的です。腕を乗せて支える台のついた型は、握力が落ちている人や、手首が痛む人に向いています。
車輪が二つで、残りが脚になっている型もあります。滑りにくいぶん、持ち上げて進める場面が増えます。 屋内で使うのか屋外で使うのかによって、向く型が変わります。
屋外で使うなら、車輪の大きさが効きます。小さい車輪は舗装の継ぎ目や砂利で止まります。普段の道を、担当の相談員に一緒に歩いてもらうのがいちばん確かです。
選ぶ前に、どこで困っているかを言葉にする
長い距離が歩けないのか、途中でふらつくのか、荷物が持てないのか。困りごとの中身が違えば、要る道具も違います。
荷物だけの問題なら、シルバーカーで足ります。ふらつきがあるなら、荷物入れのついた道具ではなく、支えられる道具が要ります。 ここを取り違えたまま買うと、危ないほうの道具が家に増えます。
歩ける距離が短くなってきた背景には、筋力のほかに、痛み、息切れ、めまい、薬の影響などがあります。道具でしのぐ前に、原因を一度は診てもらってください。
高さを合わせないと、道具が邪魔になる
握りの高さの目安は、まっすぐ立って腕を下ろしたときの手首のあたりです。ここから肘が少し曲がる程度になります。
高すぎると肩が上がって疲れ、低すぎると前かがみになって重心が前へ出ます。 前かがみは転ぶ姿勢そのものなので、低すぎるほうが危険です。
買ったシルバーカーは、高さを変えられない型もあります。調整の幅があるかどうかを、売り場で必ず確かめてください。 借りる歩行車なら、搬入の日にその場で合わせてもらえます。
使わなくなった道具を、置いたままにしない
合わなかった道具が玄関に残っていると、それ自体がつまずく物になります。廊下と玄関は、いちばん転倒の多い場所です。
借りているものなら返せます。買ったものは、自治体の粗大ごみの扱いを確かめてください。このサイトの市区町村ページから、地域の相談先をたどれます。
シルバーカーは介護保険で借りられますか。
福祉用具貸与の品目に含まれていないため、借りられません。介護保険で借りられるのは歩行器の品目に入る歩行車のほうです。
見た目が同じように見えます。どこで見分けますか。
体重を預ける前提でつくられているかどうかです。商品の説明に歩行車、歩行器と書かれているか、福祉用具貸与の対象と書かれているかを確かめてください。判断に迷うときは福祉用具専門相談員に聞くのが確実です。
要支援でも歩行車を借りられますか。
歩行器は要支援の人も借りられる品目です。詳しくは要支援・要介護1でも借りられる福祉用具の記事で扱っています。
出典
- 厚生労働省 介護保険制度における福祉用具貸与・販売の概要(PDF) 2026-08-22 確認
- 製品評価技術基盤機構(NITE) シルバーカー・歩行車、電動車いす、電動アシスト自転車の事故 2026-08-22 確認
- 国立長寿医療研究センター 長い距離が歩けない 2026-08-22 確認
- 国立長寿医療研究センター 転びやすくなる原因は? 2026-08-22 確認
制度の運用と自己負担の額は市区町村によって異なります。 最終的な確認は担当のケアマネジャーか市区町村の窓口へお願いします。
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