杖は自分で買うのか、介護保険で借りられるのか
杖を介護保険で借りようとして、対象外だと言われた人は少なくありません。すべての杖が外れているわけではなく、外れているのは一種類です。どこで線が引かれているかを知れば、借りるのか買うのかを迷わずに決められます。
外れているのは、いちばん見かける杖
介護保険の福祉用具貸与には、歩行補助つえという品目があります。ここに含まれていないのが、握りがT字になった一本杖です。
理由は、価格が高くないことと、広く出回っていることにあります。貸与になじまない品目として、制度の側で整理されています。 必要ないと判断されているわけではありません。
つまり、いちばん多く使われている杖が、いちばん保険から遠い。 ここを知らないと、事業所の説明が不親切に聞こえてしまいます。
借りられる杖は、支えの多いもの
先が三つ以上に分かれた多点杖、脇や腕で支える型、前腕で支える型。支える面が広く、価格も高い杖が貸与の対象です。
多点杖は、床に触れる点が増えるぶん安定します。手を離しても倒れずに立ちます。 そのかわり重く、傾いた場所では逆に不安定になります。
どの型が合うかは、どこで不安定になるかで変わります。 平らな場所で疲れるのか、立ち上がるときにふらつくのか。福祉用具専門相談員に、普段の道を一緒に歩いてもらってください。
T字杖を用意するときの費用
売り場では、数百円のものから、一万円を超えるものまで並んでいます。折りたためる型、伸ばして長さを変えられる型、素材が軽い型で値段が変わります。
安いものが悪いわけではありません。大事なのは、長さを体に合わせられるかどうかです。 長さが決まってしまっている型は、合わなかったときに調整できません。
先のゴムは消耗品です。すり減った杖は滑ります。 交換用が手に入る製品かどうかを、買うときに確かめてください。
長さが合っていないと、支えにならない
目安は、まっすぐ立って腕を下ろしたときの手首の高さです。ここに握りが来ると、肘が少し曲がった状態で支えられます。
長すぎると肩が上がり、短すぎると前かがみになります。 前かがみは転ぶ姿勢そのものなので、短いほうが危険です。
履く靴によっても変わります。家の中と外で高さが違うなら、伸縮する型を選ぶか、外用と中用を分けるかのどちらかです。 一本で通そうとすると、どちらかが合いません。
市区町村の助成がある場合
介護保険とは別に、市区町村が独自に杖の助成を行っている例があります。内容も金額も自治体ごとに違います。
障害者手帳を持っている人は、障害福祉の側の制度が使えることがあります。補装具費の支給や、日常生活用具の給付という別のしくみです。 介護保険とどちらが優先されるかは、状況によって変わります。
どちらの窓口も市区町村です。 介護保険の担当課と障害福祉の担当課は分かれていることが多いので、両方に聞いてください。
杖でしのげなくなる時期がある
杖は、片手で体重の一部を受ける道具です。受けられる量には限りがあります。 ふらつきが大きくなると、杖では追いつきません。
両手で支える歩行器や歩行車のほうが安定します。杖から歩行車へ移るのは、後退ではありません。 転ばずに歩ける距離を伸ばすための持ち替えです。
転びやすくなる背景には、筋力のほかに、薬の影響、めまい、視力、足の痛みがあります。道具を替える前に、原因の側も一度診てもらってください。
なぜT字杖だけ介護保険で借りられないのですか。
価格が高くなく、広く出回っているため、貸与になじまない品目として制度の側で整理されています。必要ないと判断されているわけではありません。
四点杖なら借りられますか。
先が三つ以上に分かれた多点杖は、歩行補助つえの品目に含まれます。要支援の人も対象になる品目です。
杖はどこで買えばよいですか。
福祉用具の事業所のほか、薬局や大きな売り場でも扱っています。長さを合わせられるか、先のゴムを交換できるかを確かめてから選んでください。
市区町村の助成はどこで聞けますか。
介護保険の担当課と、障害福祉の担当課の両方に聞いてください。制度が分かれているため、片方だけでは案内が届かないことがあります。
出典
- 厚生労働省 介護保険制度における福祉用具貸与・販売の概要(PDF) 2026-08-22 確認
- 厚生労働省 福祉用具貸与と特定福祉用具販売の選択制について(PDF) 2026-08-22 確認
- 国立長寿医療研究センター 転びやすくなる原因は? 2026-08-22 確認
- 厚生労働省 福祉用具(補装具費支給制度・日常生活用具給付等事業) 2026-08-22 確認
制度の運用と自己負担の額は市区町村によって異なります。 最終的な確認は担当のケアマネジャーか市区町村の窓口へお願いします。
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