住まいの動線から福祉用具を考える

選び方と使い方 / 2026-08-22 公開 / 約1,400字

用具を1つずつ足していくと、置いてはみたが使わないものが増えます。朝起きてから夜寝るまでの動きを一度たどってみると、本当に支えが要る場所が見えてきます。

朝起きてから、順にたどる

目が覚めて、体を起こして、ベッドの縁に座って、立ち上がって、トイレへ歩いて、便座に座って、立ち上がって、洗面所へ。ここまでで、支えが要る動作がいくつも出てきます。

動作ごとに区切って、どこでつまずくかを見てください。 「トイレに行くのが大変」ではなく、「ベッドの縁から立ち上がるときにふらつく」まで絞れると、必要な用具が決まります。

線で見ると、途切れているところがわかる

ベッド脇に介助バーがあり、トイレに手すりがあっても、そのあいだの廊下に何もなければ、いちばん不安定な区間が空いたままです。

支えは途切れないほうが安全です。 手を離す区間が長いほど、その途中で転びます。廊下の途中に据置型の手すりを置く、壁づたいに歩ける経路をつくるといった手立てが要ります。

時間帯通る場所見るところ
朝ベッド→トイレ→洗面所起き上がり、立ち上がり、廊下
日中居間→台所→玄関いすの高さ、段差、上がりかまち
夕方脱衣所→浴室またぎ、床の滑り、立ち座り
夜ベッド→トイレ暗さ、寝起きのふらつき

通らない場所は無理に整えない

2階に上がらなくなっているなら、階段の手すりは急ぎません。使っていない部屋を整えるより、毎日通る経路に手を入れるほうが効きます。

暮らしの範囲が狭まっているなら、それを広げるための用具を考えます。 歩行器があれば玄関まで出られる、車いすがあれば通院に行ける。動線を伸ばす方向の相談も、用具の役目です。

家具の配置も用具のうち

つかまりやすい高さの家具を経路に置くと、手すりの代わりになります。逆に、キャスターの付いた家具や軽いいすは、体重をかけると動いて危険です。

相談員に家のなかを一緒に歩いてもらってください。家具を1つ動かすだけで解決することもあります。

夜の動線は、昼と違う

昼に通れる道が、夜には通れないことがあります。 暗く、寝ぼけていて、急いでいる。

実際に夜、明かりを消した状態で歩いてみてください。 昼には気づかない障害が見えます。

転倒の多くは、この時間帯に起きています。 手を当てる順序としては、いちばん先に来ます。

段差は、数センチでも効く

足が上がりにくくなると、一センチの敷居でもつまずきます。

敷物の縁、電気の線、床に置いた物。段差だと思っていないものが、つまずく原因になります。

スロープや段差解消の板で埋められます。 工事をしなくても手が打てる部分です。

明かりを足す

足元を照らす小さな明かりを、廊下とトイレの間に置くだけで違います。

人が近づくと点く型なら、スイッチを探さずに済みます。 探している間に転ぶことがあります。

福祉用具の品目には入っていませんが、費用は大きくありません。 効き方に対して、いちばん安い手立ての一つです。

季節で変わる

冬は厚着になり、動きが鈍くなります。 浴室と脱衣所の温度差も体にこたえます。

夏は水分が足りなくなり、ふらつきが出ます。

季節の変わり目に、一度動線を見直してください。 同じ家でも、通りやすさが変わります。

出典

制度の運用と自己負担の額は市区町村によって異なります。 最終的な確認は担当のケアマネジャーか市区町村の窓口へお願いします。

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